私の鉢バラ栽培 深水 功
平成30年/2018 No.29 掲載
年間の作業を見た場合、私にとっての最大の難関は土作り及び鉢の土替えです。それに伴ういろんな作業も加齢とともにきつくなり、健康で作業ができることの大切さを痛感させられた年になりました。
2018年度鉢の土替えは昨年から準備し、1月末までに終わらせる予定でした。
1月は9日までは10度以上、10日からは低温となり雪まで降り、今年も異常気象になりそうな予想でしたが、それからも高温低温の繰り返し、積雪こそ2~3回でしたが、雪がチラチラした日が8日もありました。
2月になり最低温度が0度を切り-2度を記録した日もあり雪も降り、手入れをサボっていたら、土替えしたばかりの鉢土の表面が霜柱で持ち上がり、土が微塵に砕かれていました。慌ててマルチングしましたが後の祭り 残念至極 !! なぜかと言うと、赤玉土が砕かれると、水はけが悪くなりそれがヘドロ化して空気のとおりも悪くなるからです。
天気も悪く作業が進まず、剪定が終わったのち消毒を手抜きしようと、イオウフロアブルの原液を筆で塗りたくり、一回で済まそうとしたら液が乾いた後、薄い黄色の壁土みたいに厚化粧となりました。これじゃあ、呼吸ができないのではないかと慌てて水で洗い流そうと、ジェット水流でバシャバシャしてたら、溶けた薬液が鉢いっぱいに広がり、鉢土のPHが5を切り薬害が出ないか、また土替えするか悩みましたが、やる気力がなくそのままでした。
それでも何とか芽は出てきましたが、いつもの元気がありませんでした。
3月はベッド待ちしていた入院が決まり、それも1週間くらいの予定が退院できたのは3週間後、水やりは妻がしてくれましたが、ピンチや芽カキができず手遅れでした。追肥もタイミングが遅れ、ステムの伸びが悪く弱弱しい枝ばかりになってしまいました。
「やればやっただけ、やらなくともそれなりに、花は咲く」とは言いますが・・・
基本である土作りは、鉢数が少ない時はバラ園やホームセンターのバラの土でいいと思いますが、数が増えてくると金額的にも負担が大きく、自分の気に入った土を作ってみることをお勧めします。今年作っている土の単価は1ℓ約89円くらいになり、安くもないけどいろいろ考えて配合し、結果を見るのも楽しいものです。
目標としている土
排水性の良い土:赤玉土、鹿沼土、ボラ土で保水性と保肥性を考え割合を決めます。なかなか微妙でいつも悩みます。この基本用土を40~60%以内にして、鉢土全体に水が浸み渡り、肥料の成分をできるだけ長持ちさせ、赤玉がくずれず溶けなく、目詰りをせずしかも排水が良く、潅水した水はすぐ流れるがしっかり保水もしている様な土を理想としていますが、毎年苦労しています。
また、いろんな本を見ると鉢土には肥料は混ぜないとか、フカフカでなくてはいけないとかいろいろ書いてありますが、大事なのは経験してどうしたら簡単に良い土を作れるか自分で考えることです。
用 土 | 2018年度 | 2019年度予定 |
---|---|---|
赤玉中粒 | 36% | 30% |
鹿沼土小 | 15% | 10% |
ボラ土小 | 10% | 10% |
パーライト | 3% | 5% |
ゼオライト | 2% | 3% |
有機麟太郎 | 2% | 3% |
陸王ミネラ | 2% | 3% |
馬糞堆肥 | 10% | 15% |
ピートモス | 10% | 10% |
ココピート | 36% | 30% |
パーク堆肥 | 5% | 5% |
2018年度は、排水をよくし、追肥を少なくして液肥を主体にしてみようと思っていたが、うまくいかなかったのでまた少し変更して試してみます。
2017年度は根頭癌種病が多発し20数株捨てましたが、今年は体調不良もあり手入れがおろそかになり、2年続きの不作となりましたが、樹勢の回復に努めています。
2018年は散々な状態ですが、今までなかった「かび病」か「べと病」が6~7月ごろあっという間に広がりました。黒点病かと勘違いし、サプロールとダコニールで消毒していて、ドーモ様子が違うので、慌ててジマンダイセンとサンヨールに切り替え消毒しましたが、なかなか収まらず葉が落ちてしまい、弱り目に祟り目で困りました。
このべと病やかび病は、黒点病より強力で、風上にあるミニバラとつるバラが初めに発症し、葉をむしり取ってしまいましたが、時すでに遅し。あっという間に広がり、消毒を繰り返ししましたが薬害も出て、冬山の落葉樹並みに枝だけのさびしい鉢が並んでいます。
こんな状態になってしまったら、出来るだけ早く折り曲げ剪定か、FLなどは枝を水平になるように曲げ、新芽を出させます。
新芽が出るのは約3週間前後くらいで、ピンチでつなぎ9月の秋の剪定に持っていけたら綺麗な花が咲きます。上手くタイミングが合えば、バラ展へ出品することも可能です。
学習能力がなく失敗ばかり繰り返していますが、次につながるような対策だけは上手になったかもしれません。これも経験のうちかとも思えます
切り返し剪定
バラの仕立て方に、切り返し剪定という方法もあります。
これはコンテストなどで、開花時期を合わせる時利用しますが、例えば今秋は10月19日~21日がバラ展で、剪定後開花するのが45日前後、逆算して剪定日は9月5日になりますが、今年は暑いので早く咲きそうです、そういう時は加減してください。
この日を基準にして切り返し剪定日を決めます。
切り返しから 1回目ピンチまで・・・・21日 2回目ピンチ ・・・・14日 3回目ピンチ ・・・・14日 4回目ピンチ ・・・・14日
秋の剪定日9月5日から・・・・63日前 ➡ 7月4日切り返し、すべてソフトピンチとしヒゲ芽でない位置で、約70cmくらいで切り返ししています。早秋花を咲かせるなら9月5日より前に咲かせる様にします。
切り返し剪定のメリット
- 切り返し後の芽に活力がある
- ピンチの繰返しで上部のステムが調節でき、剪定後の芽の動きがスムースです
- ピンチからピンチで上のステムが太くなる
- ピンチすることで良花が期待できる品種、ステムが高くなりすぎるような武州、手児奈などの品種が向いているようです
今回は7月6日から切り戻しをはじめ、終わったら大雨が続き、べと病が蔓延して葉がなくなり、哀れな姿になってしまいました。
そんな時は、芽を出させたいところの上1cmくらいから折り曲げ、約3週間で芽が出ますので、これを大事に育てたら秋には立派な花が咲きます。
時期は根がしっかりしていたら、7月から8月初めまでなら100%芽は出ますのでためらわず早めにします。
枝を曲げたり倒す方法で、芽が出て通常通りピンチでつなぎ充実した枝として9月に剪定します。
ソフトピンチなら14日間隔、ハードピンチなら3回目から4回目の期間は20日くらいかかりますが、期間を長く30日以上にするとより充実した枝になるようです。
鉢栽培で、私の場合場所が狭いので横へ広がらないよう新芽をピンチしたら、支柱を立てまっすぐ伸びるよう強制的に括り付けます。場所を取らず、しかもステムがまっすぐに伸び、花の芯も中心に来るのではないかと思います。10坪弱のベランダで100鉢以上並べています。
70歳から始めたバラ栽培も、8回目の秋を迎えます、失敗ばかりで残念ですが体力と相談しながら続けていくつもりです。
私に限らず、歳を重ねると後ろ向きな考えが多くなりますが、物は考えよう やればできる・・・やってみなはれ・・・と、無理でない範囲で明るく楽しくバラと過ごせたらラッキーだと思います。
折角福岡バラ会へ入会し、皆さんと知り合えバラという共通の趣味を持ち、教えてもらった知識も、空っぽの頭にもかかわらず全然入っていかないですが、ボケ防止の手段の一つと綺麗なバラを咲かせるよう頑張ります。