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ローズ・ふくおか アーカイブス 2013-2 「薔薇と英国のガーデンを巡る旅」

薔薇と英国のガーデンを巡る旅
ー 福岡バラ会30名の旅ー   宮川 洋平
平成25年/2013 No.24 掲載

1日目 6月13日 (木)

 福岡空港発オランダ経由ロンドンタ刻着。英国は世界一のガーデン大国で、花いっぱいの田園ガーデンや秘密めいた宮殿のフォーマルガーデンの旅の始まりです。

2日目 6月14日 (金) 「クイーンメアリー・ローズガーデン」

 ロンドン市内にある、 東京ドーム100個分という広大なリーゼントパークにある「ク イーンメアリー・ローズガーデン」はパークの入口付近にある。丁度、満開に咲いたモダンローズの円形ガーデンを囲んだオールドローズのパーゴラやロープに巻きついた (ガーランド仕立) つるバラ・ランブラーローズは、まだ、蕾の状態でしたが、その数 6万本と言われている。 手入れの行き届いた芝生と大樹で作られた空間は、まるで森の中にたたずんでいるようでした。 バラの香りにつつまれて、あっという間の1時間でし た。
 ロンドンの気候は、朝晴れ、昼曇り、夕方小雨と一日の天気は変わり易く、 気温は朝15°C、 昼20°Cで、 夏でも25°Cと言われていて、快適な気候の中、バッキンガム宮殿の衛兵の交代の様子やバスの中からの国会議事堂、ロンドン塔を見学し、郷土料理のローストビーフとケーキ、コーヒーで昼食をすませました。
 午後はロンドン市内の「ザ・ガーデンオブローズ」
 英国バラ協会のバラ園で、このバラ園の魅力はなんと言っても世界中のバラの品種に出逢えることと、その広大な敷地には原種のバラからオールドローズはもちろんのこと、 モダンローズなどカテゴリー別にガーデンが作られていた。これらを丹念に観ると、派手な花色の原種もあれば緑色のバラもあり、3万本といわれ、また、バラの苗床には地元産の馬糞堆肥がふかふかに施され、 その充分すぎる量に驚きました。

3日目 6月15日 (土)

 ロンドンの夜明けは早く4時です。5時には、ホテル近辺を散歩すると、自然が一杯の中、小鳥はもちろんのこと、リス、野うさぎ、小川には鴨やアヒルなどいろんな動物に出遭えます。数百年前にタイムスリップしたかのような風景を体感しました。

 午前中は世界遺産の「キューガーデン」
 世界中の植物の10分の1がここにあるというだけあって、その広さと芝生と大樹の森は英国の特徴でもあり、住宅地でも芝生と大樹は同じです。また、19世紀半ばのヴ ィクトリア朝時代に建設された巨大温室パームハウスとバラ園を見学しました。
 昼食はパブで、英国伝統料理のフィッシュ&チップスにケーキ、コーヒーですませる。  午後は「デビットオースチンローズガーデン」
 ロンドンから北の丘を目指し2~300kmバスで2時間走る。住宅街から田園風景に変化する景色を眺めながら、 私が最も愛するイングリッシュローズの生みの親「デビット・ オースチンのローズガーデン」に到着します。このガーデンは世界中のバラ愛好家の憧れでもある。オースチンは、1961年、新種のバラ「イングリッシュローズ」を考案して園芸家たちの注目を浴びる。 ナーサリーの中は、900種のバラが揃う庭園が色々のコー ナーに分けられている。
 その中の一つに、芝生通路とオールドローズに囲まれたイングリッシュローズ庭園があります。残念ながら、当地方はロンドンより北の丘で寒い地方なので、まだ蕾の多い時期でした。日本のイングリッシュローズと違いグラハム・トーマスはフロリバンダの様に短く、全体的にイングリッシュローズは小さく弱々しく成長し、無農薬のせいかアブラ虫が沢山いました。園芸用品の販売所があり、苗の販売も行っていました。

4日目 6月16日 (日)

 午前中、シェークスピアゆかりの地「アンハザウェイの家」。
 ここは公園と違いイングリッシュガーデンで、バラは数本しかなく宿根草と球根、一年草と樹木にかこまれ、心なごむガーデンです。 巨大ポピー、グラジオラス、カンパニ ュラ、ラベンダー、 バーバスカム、ジキタリス、グラニュム、アリウム、ルピナス、ハーブなど多彩な色彩に富んでいて自然に溶け込むシックなイングリッシュガーデンでした。
 午後は最も興味のあったところ・・・ 「キフツゲートコートガーデン」
祖母、母、娘と女3代にわたって作られたコッツウォルズの丘陵を見下ろす高台の眺めの良い庭園です。庭園はオールドローズとウツギなどの混じるローズボーダーで満ち溢れており、その一角には大きく育った白い一重のつるバラがありました。オールドローズの大家グラハム・トーマス氏によって、1951年、新種のバラと認定され「キフツゲート」の原木 (樹高15m)は英国最大といわれ旺盛に育っていましたが、残念ながら、この時期は蕾のみで花は観ることが出来ませんでした。
 我が家では、5年前から、キフツゲートは一季咲、遅咲きで倉庫の屋根一面をおおっています 。
 さらに、コッツウォルズ地方に足を運ぶ。
「チェルトナム」はロンドンから北西に車で2時間位の所にある、英国一の田園風景が美しい丘陵地帯です。この地方特有のライムストーン (蜂蜜色) の石で建てられた家々が連なる優美な村です。 この家々を目当てに観光客で賑わっていた。また、一歩裏道に入ると、ここもガーデニングを楽しむ住宅が目に付き、家族・子供用の公園、乗馬クラ ブなど家族で遊べるところも数多く見られた。

5日目 6月17日 (月) 午前中、「バース」

 英国最古の温泉で、地名の由来となったバース寺院や市内観光を楽しみました。昼食はパブでチョコレートケーキ、ミックスサラダ、ひき肉とマッシュポテトパイ。
 午後、「モティスフォント・アビーガーデン」
 英国で最も美しいローズガーデンで、グラハム・トーマス氏が300種以上のオールドローズを集め、修道院のキッチンガーデンを改造し、バラ園にしたことで知られている。「バラは標本として整然と並べるものではなく、彩りも華やかに宿根草とともに植えられるべき」にそって計画的に造られた心安らぐガーデンでした。特に、我が家と同じように池のそばに咲いていたオールドローズのローブリッターはお気に入りです。

6日目 6月18日 (火)

 午前中、「ハンプトンコート宮殿」
 ロンドンから30分の所と思えないのどかなテムズ河畔に建つ、壮麗なレンガ造りの宮殿です。内部は、英国バラ協会の140年の歴史を持つ世界最古のバラ園と世界最古で最大のブドウの木は250年にもなる古木があります。キノコ型に成型された ライムツリーの巨大な並木道と宮殿壁際のさりげない植え込みが素敵でした。
 午後、 「個人宅」
自作池の周りに陶器で作ったオブゼが置かれ、自然な雰囲気に植え込まれた庭園は主人と奥様の合作。英国風というよりエスニック風?よく判らない庭園でした。

 最後にイギリス人のガーデニング好きには歴史を感じます。建物も歴史があり、庭も歴史があり、年数の重みを感じます。自然にマッチした植栽と手入れの良い庭園。土のない環境でもハンキングバスケットや鉢植えが数多く見られ、 そのいずれもがセンスに溢れていた。
 今回の英国旅行は、ガーデニング10年目の卒業旅行でした。次回は、スペイン旅行を夢みています。2年前、バラの手入れ中に足を骨折し入院、20kgのダイエットに成功し、 昨年からリハビリを兼ねフラメンコ踊りを始めました。 現在、秋の発表会を目指して猛特訓中です。