新苗を植えて秋には一人前 九州バラ研究会 福島康宏
平成22年/2010 No.21 掲載
○ 楽しみの方法 (庭バラ・切花・コンテスト・鉢 等々)目標をはっきりとする。
○ 美しい花を楽しむために(下記の項目はバッチリと)
- 植付 面積当りの株数
手入れのしやすさ
植付地の用土改良(資材・必要量) - 仕立て 芽の処理
- 肥培 必要な肥料・マルチの方法・水やり
- 病虫害 耕種的防除を基本に、成育する枝葉を病気・害虫から防止する
1 新苗の養成
○ 台木養成
- 野バラ果実の採収 12月下旬に行い、果実は湿り気味にして冷凍室で保存。
- 播種 2月、ハウス内で行う。
- 播種用土 肥料分のない清潔な用土。
- 覆土 やや厚め、接木部を長くする。
- 肥培 うすい液肥を灌水がわりに。
- 台木圃場植付 5、6月に、1m畔巾、株間5㎝の1条植え 10a 20,000本の植付本数
- 台木圃場管理 除草を中心に管理する。ビニールマルチ・植穴にモミガラ堆肥マルチ
- 植付後 シュート発生で台木は大きく育つ 栽培品種と同じ 台木は秋口~初冬に大きく育つ
一季咲きの野バラはシュートに花は咲かない。 - 病虫害防除 特に必要ないが、ハダニ・ヨトウムシ・ウドンコ病・べト病に注意も必要か。
- 肥培管理 育ちの悪いときに肥料必要
- 堀上げ 12月に実施 上部5~10㎝、根部15㎝ に切り揃える。
2 目的とする品種養成(新苗作り)
- 1月中旬~2月下旬 接木(切り接ぎ) 接木2ヶ月で新苗出来上がり
- 台木 ーーーー 台木は根洗いを行う。
- 穂木 ーーーー 目的の品種 ・・・・・ 充分に寒にあった充実した穂
- 台木・穂木の削り方
- 台木 ーーーー 接木部を高めに。切り口は台木、穂木と形成層をあわせる。
- 穂木 ーーーー 台木の削面と同じ巾。パラフィンテープで接木部・穂木を巻き上げる。
- 4号長鉢(用土量1リットル)
根が出るくらい高めに鉢上げ
穂木・台木の力で新梢が力強く発生する。新梢5節ピンチ。 - 肥培管理 ーーーー 新梢ピンチ5節後2段目の伸長時頃より台木の新根が発生する。
新根発生を確認し、N成分10%の2000倍の液体肥料等を灌水と合わせて行う。 - 病虫害防除 ーーー べト病 ーーー 湿気に注意
ウドンコ病 ーーー 適切な肥培管理
ハダニ ーーー 他より持込み注意 粘着くん、水あめなど散布 - ピンチ1回~2回で2段・3段目を伸ばして蕾取りの新苗仕上げ。
このように仕立てられた苗が市販されている。普通はこの段階からのスタートである。
3 鉢バラを例に「新苗で秋に一人前」
サロン・ド・ロザリウム実施(2009.4.19/2009年のバラ教室)
- 栽培スケジュール 品種ジャルダンドフランス、個人一鉢、鉢・用土・肥料はすべて同じ
- 4月上旬 鉢替え (4号→7号スリット鉢)
- 6月中旬 定植 (7号→10号スリット鉢)
- 9月上旬 早秋花開花
- 10月中下旬 秋花開花
- 12月下~1月中旬 冬花開花
- 2月下旬 冬せん定
- 5月中旬 春花開花
- 鉢替え・苗の芽処理・シュート処理・液肥・病虫害防除・置場等
- 鉢替え 用土資材 (容量%)
- 焼赤土 30
- ビート 20
- バーク 20
- ボラ 30
- 用土1ℓ当りマグアンプK3g
- 物理性 (気相率30%)
- 化学性 (弱酸性5.5以上~6以下)
- 鉢替え
- ベーサルシュート発生位置
- 用土量、ウォータースペース
- マルチングしない
- 置場 ーーー 日光・風当り・雨
- 鉢替え 用土資材 (容量%)
- 新苗時の新梢処理
- 花を咲かせない同化養分枝として利用する。
- 新苗の上部より出る新梢はすべて取り除く。現在の葉のみ利用する。
- シュートの発生は植付後2週間が目安となる。
- シュート処理
- のびるくんと蕾取りで新しい基枝を育てる。(基枝は花を咲かせる枝)
- シュートピンチ 葉(節)の段数 シュート段数
- のびるくんピンチ べた芽を利用し、ピンチ後次に出る新梢は長く大きく育つことを期待する。
- ひげ芽は側蕾・側枝となる芽で大きく育たない。ひげ芽の位置ではピンチしない。
- のびるくんでシュートピンチ
- 時期 ピンチする位置の葉が開いていない時(なるべく早めにソフトピンチ)
- 段数(節)、 5,6節が基準でひげ芽がないこと
- 1段目~2段目の処理までの日数 15日から20日が目安
- 2段目~3段目の処理までの日数 15日から20日が目安
- 2段目のピンチで3段目は蕾取り、3段目で長さを制限する。
- (3段目のピンチで4段目は蕾取り、4段目で長さを制限する。)
- 蕾取り後、ひげ芽が伸びてくるのでそのつど早めに取り除く。
- シュート発生をみたらそのつどピンチする。
- シュートは1本仕立てを基本とする。ピンチ後に2本以上発生する芽は先端のみとする。
- 目標シュート数 5本
- シュート処理、段数は2回処理、3段目蕾取りに統一する。
- 蕾をとった後3段目上部より出るヒゲ芽処理 ーーー すべて取り除く。
- 高さの制限とせん定で切り捨てる成葉を少なくする。
- 肥培管理 ーーーー 灌水も兼ねた液肥
A ポリフィード6号 微量要素入り複合肥料 N 16 P 9 K 27 B カルパック 硝酸カルシウム N 11 Ca 23 C 普通の水 - A・Bの肥料それぞれ2000倍。
- A・B・Cの順に乾き具合でたっぷり実施する(繰り返し)
- 肥料分の過不足に注意
適切な肥効で良好な生育は、ウドンコ病発生、シュート発生、葉色等で判断する。 - 肥料濃度はppmで
ポリフィード6号 カルパック 液肥倍数 (10ℓ当り) N成分(PPM) N成分(PPM) 500倍 20g 320 220 1000倍 10g 160 110 2000倍 5g 80 55 3000倍 3.3g 53 37 - 成育良好な場合肥料濃度も上げる。
- 成育不良の場合は倍数を下げる。
- 標準は始め2000倍でスタートだったが、500倍が良好?の場合も。
- ポリフィード 25 Kg
- カルパック 25 Kg
- 有機発酵肥の置肥等 各月10g位
- 鉢定植 7号 → 10号スリット鉢
- 一般的な株の状態は(7号時)
- 3本のベーサルシュート
- 2段目ピンチ 1本
- 3段目蕾取り 2本
- シュートの発生始め1本
- 用土 1回目と同じ シュート発生位置 ウォータースペース
- 一般的な株の状態は(7号時)
- シュート処理の方法(前回同様)
- 肥培管理 液肥
- 病害虫防除
- 梅雨時管理
- 早枝花のせん定
- 花のせん定
- 冬花のせん定
- その他 新苗時の枝整理等 ーーーー 支柱立て
- 早秋花のせん定(バラ展を考慮した開花を考えて)
- せん定日~早秋花開花までの日数 (例)7月30日 せん定→8月29日 主蕾開花
- 本番の秋せん定前が開花目標
- せん定方法 ーー なるべく充実した枝葉を除かないシュート処理をしている。
ピンチでせん定に替える方法を重視したが良い花枝なりやすい。
- 3段目が充実している枝
- 3段目の中央でせん定日に切る。
- 3段目の中央でせん定日 20~15日前で切る。
- 伸びた新梢をピンチしてせん定とする。
- 2段目~1段目の伸長枝・ピンチでせん定とする。
- せん定位置を支柱に固定する。
- 必要に応じ、芽かぎ(花数制限)を実施する。
- 秋花のせん定(せん定日を決定する)
- 早秋花を咲かせた場合 → 早秋花の中央でせん定する。
- シュートはピンチでせん定とする。
- 早秋花を咲かせないで秋せん定する場合
- 3段目の中央でせん定する
- 3段目を20~15日前にせん定し、新しく出た4段目をピンチしてせん定とする。
- それ以下のシュートはピンチでせん定する。
- せん定位置を支柱に固定する。
- 必要に応じ芽かぎ(花枝制限)を実施。
- 冬花のせん定 ーーーー 秋花のひげ芽を利用する。
- 春花のせん定 ーーーー 地上20cmでせん定する。
- その他
- さし芽接ぎ木によるスタンダード・ウィーピング作り
- さし芽接ぎ木による一般の新苗作り
- 自然塩・にがり・有機質酵素肥料
- ハダニは冬期防除で徹底防除
- マルチングは色々
- テーブル花は小さく短く利用できるので年中飾ろう
- Min・FLが気楽で良い
- コンテスト 単花・組花
- バラ作りは、バラの特性を基本に、自由な方法で、絶対はない
- いろいろなこと教えてください。
4 病害虫防除 耕種的防除を基本とする。
病気・害虫名 | 耕種的防除 | 薬 剤 |
---|---|---|
黒星病 | 雨に当てない 雨の跳ね返り、日光不足 |
ジマンダイセン ビスダイセン ラリー ストロビー マネージ アミスター |
ウドンコ病 | 適切な肥料 日光、風通し |
サンヨール トリフミン フルピカ ピリカット |
ハダニ | 他からの持ち込み防止 寄生する植物に注意 寄生する雑草の除草 |
冬防除が基本 石灰硫黄合剤 マシン油 |
粘着くん コロマイト 水あめ ダニサラバ スターマイト | ||
スリップス 一般害虫 ヨトウムシ オオタバコガ |
咲きがら整理 早めの対応 |
オルトラン スミチオン アルバリン モスピラン アドマイヤー アクタラ パダン アグロスリン アフアーム スピノエース |
病気・害虫 | 耕種的防除 | 薬 剤 |
---|---|---|
黒星病 | 雨に当てない 雨の跳ね返り 日光不足に注意 |
Aジマンダイセン Aビスダイセン Bラリー Bマネージ Bトリフミン Bルビゲン Bスコア Bバイコラール Bサプロール Cストロビー Cアミスター |
ウドンコ病 | 適切な肥効 日光・風通しを充分に |
Dフルピカ Eピリカット Eセイビア Fキノンドー Fサンヨール |
灰色かび病 | 枯れた部分の摘除 風雨防止 |
ジマンダイセン ビスダイセン ストロビー アミスター セイビア ピリカット キノンドー |
ハダニ | 他からの持ち込み防止 寄生する植物に注意 寄生植物防除 |
コロマイト ダニサラバ スターマイト 粘着くん エコピタ 水あめ |
スリップス 一般害虫 ヨトウムシ オオタバコガ |
咲きがら整理 他作物の関係注意 発生をみたら早めの対応 |
a スミチオン a オルトラン a ディプテレックス a ダイアジノン b アルバリン b モスピラン b アドマイヤー b アクタラ c トレボン d パダン e アファーム e コテツ f スピノエース g プレオ |
- 系統別にAB,ab でグループを分けました。グループ別のローテーションが基本になります。
- 害虫の薬剤は、それぞれの対応害虫を参考にしてください。スリップス類は○○○アザミウマと害虫名です。ダニ剤は抵抗性がない粘着くん、エコピタ(水あめ)の利用が 求められます。
☆ 殺菌剤 | |
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A 有機硫黄殺菌剤 | ジマンダイセン ビスダイセン |
B ステロール生合成阻害剤(EBI剤) | ラリー マネージ トリフミン アンビル |
C メトキシアクリレート殺菌剤 | ストロービー アミスター |
D アニリノピリミジン系殺菌剤 | フルピカ |
E その他の合成殺菌剤 | ピリカット |
F 銅殺菌剤 | サンヨール キノンドー |
☆ 殺虫剤 | |
---|---|
a 有機りん系殺虫剤 | スミチオン オルトラン ディプテレックス ダイアジノン |
b ネオニコチロイド系殺虫剤 | アルバリン モスピラン アドマイヤー アクタラ |
c ピレスロイド系殺虫剤 | アグロスリン トレボン |
d ネライストキシン系殺虫剤 | パダン |
e その他の合成剤 | アファーム コテツ |
f 微生物殺菌剤 | スピノエース |
g プロペニルオキシフェニル | プレオ |