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ローズ・ふくおか アーカイブス 1993-5「平成5年春のお庭拝見記」

平成5年春のお庭拝見記   水町 俊恵
平成5年/1993 No.7 掲載

プロローグ

粗こつ者①
 いつも、ばら展のあとにお庭拝見があるので、今年もそうだろうと勝手に決めて呑気にしていた所、今年は来ないのかとの電話で、9日に行われると知り、すっかり驚き慌てて赤司さんに電話して申込みました。

粗こつ者②
 当日、車で来て、日本銀行の横に降りました。大神先生他1名の方が立っておられたので、しめしめ三番乗りかと喜んで三人でおしゃべりをしていましたが、 待てど暮らせど誰も見えません。車も来ません。9時30分近くなってさすがに不安になって案内状をよく見たところ、日本銀行“前”となっていました。走って表へ行くと、車はちゃんと着いていて、皆さんちゃんと着席されて、楽しそうにおしゃべりしておられました。

1.小柳邸

 どこをどう通って行ったやら、雨で曇って外も見えないまま、西区の小柳邸へ到着。アプローチが素晴ら しく、階段をかなり上がった高台に近隣を見下ろす形で御自宅があり、和風庭園、ハウス、露地ときちんと 分けて区割りしてありました。
 ばらは、大変よく出来ていましたが、中でもハウスの中は、ステムの伸びもよくガッチリした出来で、大変感心しました。

 露地のばらは、風が強いとかで少し背が低いようでしたが、御自分でいろんな品種を切接ぎされたそうで、その年月、又購入の年月も名札に記入され、几帳面さに感心しました。それに応じてバラもしっかり大地に 根が張っているという感じでした。
 和風庭園、ばら園合わせると、かなりの広さと思いますが、除草が完全にされているのには、驚きました。

 今後、コンテスト用をハウスの中に移され、露地の方もフロリバンダ系とHTを分けて管理されると、今一層の素晴らしいばら園になり、コンテストの一大強豪となられるだろうと痛感しました。

 最後に、私の大好きな草花も多種沢山生き生きと栽培されていて、とても楽しかったし、立派なお座敷で、 お嬢様手作りのクッキーを何種類もいただいて、大変おいしく大満足でした。

2. 内藤邸

 長年、バラ会の技術部長であり、現副会長の内藤先生のお庭は、どんな所かとわくわくしてお伺いしました。閑静な住宅街の中で敷地の前面全部がバラを主体とした庭園になっていました。梅、つつじ等・・いろ んな木とバラ、その他の植物が混然一体となって、不思議な緑の館の雰囲気をかもし出し、それぞれの植物が生き生きとしていました。

 バラは古い木が多いようでしたが、一本づつが素晴らしい出来で、ステムの長さも70cm以上で、さすが免許皆伝の腕と感じ入りました。古い枝をどんどん切る私のやり方を考え直させられた次第です。 庭の片隅に温室があり、蘭が所狭しと並び、パフィオ、カトレア等、私が名も知らないような蘭が咲いていました。 先生は心底バラをはじめ植物がお好きなんだなあと感心させられるお庭でした。

3.大神邸

 福大の近くに近づくと、バラの咲き乱れているお庭があり、ここだなと直ぐに判りました。大神先生は花作りが本職で、内職として医者をやっておられるそうで、お庭も見事な物でした。花霞のスタンダード作りがずらりと並び、35年以上たつ君子蘭、キウイの棚仕立て、直径5cmもある大きな木のようなスタンダー ドバラ等、バラ園のバラはもとより凄い出来でしたが、 私が初めて見るような珍しい植物でいっぱいでした。 みんな先生がご自身で接木されるそうで、庭作りの年輪の重みと内職で医者をされているという意味が納得、納得。

4. 河部邸

 河部さん宅では、昨年夏バラの剪定実習をさせて頂いたと記憶していますが、その折り私はお伺い出来なかったので、楽しみにして車から降りました。広い広い敷地が三段重ねのようになっていて、一番上に御自宅があり、それを囲んで二段に分かれた敷地にバラがたくさん植えてありました。つるバラのロイヤルハイネス・ブルームーンが満開で、見事な眺めでした。有吉さんと早速クライミングのブルームーンを植えようと衆議一決した程です。お庭もうまくデザインされていて、上り坂になったアプローチにアーチがあり、バラのトンネルができるようなご計画と推察しました。 バラのつぼみも今年のコンテストにはちょっと間に合わない固さのようでしたが、それぞれきちんと手入れがしてあり、河部さんがいつもコンテストで、上位入賞されるのもなるほどとうなずかせられました。

5. 小林邸

 予定になかった副会長の小林さん宅に、みんなで行こう行こうと最後に押しかけました。小林さん宅は高級住宅地で知られる長住団地の一角の角地でした。

 南東の開けたバラ作りに最適の角地を選ばれたのだなと推察しました。ご自宅は、北西にぴったりくっつけて建てられ、できるだけ大きくとられたバラ園は大きなハウスで覆われ、周囲も防風ネットできちっと囲んでありました。ふと吹きさらしの露地で、雨、風、 寒さの三重苦に耐えている私のバラたちを思い浮かべました。(これは自分の腕の未熟を設備の良し悪しに すりかえたい私の独り言です。)

 木はすべて大株で古い枝からたくさんの花枝が真っ すぐ出て、ステムの長さもすごい長さで一定している のに感心しました。葉の色、艶、大きさ全て同じ品種でも私のバラと比べた時、段違いで、バラ歴の差、天地程の腕前の差を骨身にしみて痛感させられました。

 今まで、お庭拝見で5カ所も拝見させていただいたのは初めてです。それぞれに味のあるバラ園で福岡バラ会の懐の深さをあらためて感じました。今日のこの感激を持続して、拝見させていただいた皆様の足下にでも届くようがんばりたいと思います。

 今日の見学会をお世話くださった赤司さん始め役員の方々、司会の唐杉さんに厚く御礼申し上げます。

 追伸 昼食の中華料理、私は皿うどんを頂きましたが、量がちょっと多すぎました。でもデザートつきでおいしかったです。