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ローズ・ふくおか アーカイブス 1989-8「秋の剪定について」

秋の剪定について   白井 俊男
平成元年/1989 No.5 掲載

 ばら栽培の楽しみは、何も展示会のためだけではないと思います。でも会員であるならば、展示会へ参加するようつとめたいものです。参加すれば、入賞したいと思うのが人情で凡夫の常です。

 そこで63年度秋のばら展について、私の経験を振り返って見ましょう。日本ばら会40周年の関連で、福岡ばら展は10月28日から31日迄の4日間と、発表されました。 いつもは10月中旬前後が多いのですが。それで剪定の時期は例年通りの8月末から9月初旬では、折角の会期中に花ぎれに、なりはしないかと心配したわけです。そこにもってきて、幸か不幸か昨62年度秋の私の持株の剪定記録で、剪定から開花までの日数が、分っていました。 これ幸いと開花から逆算して、剪定日を定めて実行致し ました。

 ところがどうでしょう。展示会の開催日が近づいたと云うのに、一向に成長が進みません。一番最初に剪定したレッドスターは早くからつぼみをつけていましたが、 仲々つぼみが大きくなりません。遂々初日の10月28日になって、やっとジョン・F・ケネディとアルテス75の2本が開花して、間に合った始末です。他はさっぱり。次の日は外せぬ用事で欠席。実は花なし。第3日目は九州懇話会展でしたが、又も出品する花もなく、空しく欠席。 第4日最終日になって、やっと5本持参するというお粗末な結果となりました。

 此の失敗を分折すると、62年度秋の剪定期間、8月26日に始まり9月15日に終って得た開花日までの日数を、そのまま9月5日から9月19までかかった剪定期間にあてはめた事と、その上8月下旬11日間の最高気温の平均は30.33。9月中の平均は28.45。10月中の平均は23.19でその差は9月と10月では5.26。8月下旬に比べると7度以上もあることを、無視したことによると、思いました。

 かくしてばら展は、あわれな成績でした。しかしばら展が終ると皮肉なことに、どんどん咲き出して、11月中花を見ることが出来ました。人にも差し上げて喜ばれました。また10月頃に比べると、花の持が良くて仲々容姿がおとろえないのには、感心しました。12月になっても、 寒風の中健気に咲いているばらを見て、大いに満足致しました。怪我の功名。

 付記として、ばらの大家中野和雄氏の言葉に、「11月、 12月は本当にばらを鑑賞する時である。8月末か9月に剪定して、10月中旬に大半を咲かせてしまうなんて、勿体ない話だ」と「ばらと香り」と云う著書の中にあったのを、思い出し誠にその通りだと実感した次第です。

 にもかかわらず、娑婆気が多く、達観の境地にも到らず、あさましくも亦来年の秋には、ばら展に標準を定めて、剪定と開花日のタイムリーに挑戦して、剪定する事でしょう。凡夫であれ、滑稽と笑われても、なお一層の執念と斗志をかきたてて、寒空の中、水っ洟を啜り、元肥入れの作業に、力が入る昨今です。阿呵。

ばらの色 ひときわ冴える 師走哉

終。