福岡バラ会50年の歩み 德島 進
平成13年/2001 No.12 掲載
新世紀を迎え、福岡バラ会では誕生から、50年、まさに意義ある記念すべき年であります。このたび、50周年を記念して「ローズ・ふくおか50周年記念特集号」発行のはこびとなりました。ここに、50年の歩みを記述するにあたりまして、福岡バラ会を創設していただきました関係各位ならびに、今日まで種々ご指導賜わりました諸先輩の方々に心から感謝の言葉を申し上げます。一口に50年(半世紀)と申しますが、変化の多い足取りでしたが今日を迎えることができましたことを会員一同で祝福したいと思います。
福岡バラ会誕生の経過
昭和27年1月と申しますと、わが国では戦後の経済的な回復はまだ十分ではない時期に猪野鹿次さん、大守加津馬さん、徳永時雄さん、赤司新六さんの4名の方々の献身的なご尽力でバラ会が誕生しました。
このバラ会発足の準備会にご協力いただいた方に川田穣一さんがあります。
その後第1回バラ展の開催を機会にご協力いただいた方々に、横尾宗敬さん、有隅健一さん、顧問の神中先生(当時九大整形外科教授)で、 神中先生は特にばらへの造詣が深く相談役を引き受けていただきました。
さらにまた、大守さんは、日本ばら会に負けるなと信頼と期待度の高かった川田さん、 有隅さん、横尾さんの新進気鋭の方々を、福岡バラ会の今後の充実、成長させるために、特別研究委員として委嘱された経緯があります。
福岡バラ会歴代会長のお名前(敬称略)
初代会長 猪野 鹿次 (S27~39) 第2代会長 原 資文 (S40~50) 第3代会長 末松 慶和 (S51~52) 第4代会長 田中丸 善輔 (S53~61) 第5代現会長 田中丸 善彦 (S62~) 以上の方々です。
バラ展開催場所決定の経緯とその後の経過
バラ会の発足に合わせてバラ展の開催場所の選定については、猪野さん、大守さんと福岡玉屋の宣伝部長山田さんが入院中の当時の福岡玉屋社長、田中丸善八さんを浜の町病院まで訪ねてバラ展開催場所の承諾をいただいた経緯があります。バラ展会場決定の朗報に発起人の方々の喜びようは大変なものだったと聞いております。その結果、無事第1回のバラ展開催が福岡玉屋さんで昭和27年見事に開催され、入場者は会場に溢れるほどで関係者は驚かれたとのことでした。(その時のバラ会への入会者は77名だったときいております。)
その後、春秋2回のバラ展は福岡玉屋さん、歴代社長の絶大なる全面的なご協力で47年間の永い間(通算第95回バラ展まで)開催されて年々出品花の数も増えて盛会を続けてきました。その間、平成3年には日本バラ会全国展を福岡玉屋の会場で開催するなど福岡玉屋さんの貢献度は筆舌に尽くし難いものがありました。その後福岡玉屋さんの会社のご事情で平成11年、創業約70数年の歴史に幕を下ろされることになりましたため、その後のバラ展会場の選定には紆余曲折はありましたが、田中丸バラ会会長、兎洞玉屋営業部長ほか関係各位のご尽力で会場を「博多大丸さん」でお引き受けいただけることとなって第96回(平成11年秋)以降は博多大丸西館での開催の運びとなりました。同会場は福岡市天神にあって、交通アクセスもよいため入場者は回を重ねる毎に増加し予想をはるかに越えた大盛況を極めております。
バラ会の総会、研究会(勉強会)開催場所の 経過ならびに変遷
発足当時は、会員も少なかったこともあって、しばらくの間は赤司広楽園、赤司新六さんのご好意で赤司さん宅で総会(春は総会、夏は栽培勉強会)的な会合が行なわれていましたが、徐々に会員の増加もあって、会場を市内釜瀬さん宅、筑紫会館などにおいて釜瀬さんのばら園を実習ばら園として実地の勉強を兼ねて開催されていました。また、当時高村好雄さん(高村会長の義父)の熱心かつ緻密なご指導で勉強会が開催されていました。 (その後勉強会は3~4カ所の場所で行なわれて再び釜瀬さん宅へ戻ってきたようです。)
昭和38年頃、バラ会初代婦人部長として柿本静江さんが就任され活躍されました。(ご主人さまが札幌ビール会社の福岡支店長でしたから、バラ展用にジョッキを頂戴し現在まで使用させていただいております。) その後2代目には釜瀬真寿さんが婦人部長に就任されバラ展のこと、その他まとめ役としてご活躍いただきました。(現顧問) その後会員の増加その他の理由で勉強会は、名称を月例研究会と変えて会場を市内大濠、赤司広楽園隣りの「西本願寺会館」で開催することとなりまして 当時、太田さん、岩本さん、内藤さん、渡辺さん、大神さんその他の方々のご指導で、かなり永い間継続されました。(この会場はさきに、洋蘭愛好会が赤司さんの関係で使用されていたところです。) 総会会場として、西本願寺会館本堂・九州女子高校を使用したこともあります。この後、西本願寺さんの本堂増築のため会館の使用が不可能となり、会場を市内赤坂あいれふ会館に移して8回の月例研究会、総会1回を開催しました。次いで福岡市福祉プラザ(市内大濠)において総会を2回開催しました。その頃、新入会員の増加が著しくなりましたため、赤司広楽園ショールーム2階を借用してきましたが、毎回約40名以上の参加者で満席状況となり会場変更を迫られ一時福岡市植物園を借用したこともありました。 平成13年1月に(バラ会発足当時の発起人のお一人、故赤司新六さんのご意志を継いで赤司廣次副会長が自費を投じて新たに新会館「赤司ローズホール」を建設していただきましたので現在この会館を使用させていただいてお ります。) 同会館下には敷地内にバラの成木が植付けられておりますので実技実習(春秋の剪定その他)にも最適環境にあります。総会時には必要に応じて会則の改正を行って時宜に合ったものとして会の運営の合理化を計っております。また、全会員にばら新苗の無料配布を会予算で実行しております。
月例研究会の2部制開催
新会員の加入が近年著しく多くなりましたため、従来の全会員一緒での研究会方式ではやや難点があるだろうとの観点から、平成13年の総会において研究会の2部制方式を提案し、同年6月より実行に移しております。(初級クラスの講師は瓜生研究部会員、一般クラ スの講師は小林研究部部長)その他特に平成13年からは環境にやさしいばらの栽培と題して、例えば竹酢・木酢液その他農薬を少なくした栽培技術例、試用例などについての事例紹介を会員の中から遂次計画的に発表していただく方式も採用しております。
お庭拝見の開催
以前は春秋2回開催しておりましたが、現在は年1回の開催です。このお庭拝見は会員の実地勉強、環境の異なった場所での栽培例など、さらには会員相互の交流を含めております。 現在では概ね福岡市およびその周辺を3~4地区に分けて計画的に開花期の5月に巡回し効果をあげております。(平成13年の参加者はバス2台を使用する大盛会でした。)
バラ展の開催
春秋2回のバラ展はバラ会発足以来続いておりますが、これは会員の平素の成果を試すよい機会ですから会員へのコンテスト出品を特にお願いし、一方自由出品をコンテスト以外に実施してきましたところ、出品数・アイディアの向上が見られるようになりました。毎月の月例研究会の成果はバラ展にも大きく表われてきております。これは本人の自助努力の結果でしょう。また、バラ展には福岡市植物園・かしい花園・海の中道海浜公園のご協賛によって生花・パネル・パンフレットなどをご提供いただき会場を飾っていただいております。
さらに、秋のバラ展会期中に1日間「九州・山口 バラまつり」を組入れてそれぞれのばら会から多くの出品をいただいております。また同時に日本ばら会九州支部展も行なっております。
海外研修会の開催
平成12年6月には、福岡バラ会として多数の会員が同時に海外への研修に参加したのは初めてで、世界的にバラで有名なポートランド・ ローズ・フェスティバルへの見学でした。(参加人数は福岡バラ会20名・佐賀ばら会6名・熊本ばら会1名計27名)見学記の詳細については「ローズ・ふくおか第11号」を参照願います。
福岡バラ会の故太田嘉一郎さんの功績
福岡バラ会が今日の隆盛にありますのは、 故太田嘉一郎先輩を抜きにしてはできないと思います。先輩はバラ会の運営では第4代会長、 田中丸善輔氏の時副会長として会長を補佐しながら、活躍され特に技術指導面では研究会の常任講師として永年にわたって会員への栽培技術の指導・バラ展の集約・コメント、九州・山口ばら懇話会のことなどに尽くされました。
育種面では、新種「千代」「ローズ・フクオカ」などを作出され、今もなおその功績は我が国内外のばら界に高く評価されております。その他、多くの方々の功績について今回、記述を省略しましたこと、ご了承をお願いします。
九州・山口ばら懇話会への加入と参加
佐賀、長崎、佐世保、熊本、福岡、宇部の6ばら会が加入しての「九州・山口ばら懇話会」があります。これは現在上記各加入ばら会が会費を拠出し、組織を作っております。毎年の大会は、各ばら会が持ち回りで開催地を決めこの大会には、多くの会員がばら栽培の研究、会員相互の交流を深めるため参加者は年々増加し、平成13年宇部大会では宇部での12年ぶりの開催とあって総参加人員約100名が参加 し、盛会裡に終了しました。明14年は福岡バラ会の担当となりますので、多くの会員の皆さまの参加をお待ちしております。
むすび
50年の歩みとしては不十分な内容となってしまいましたが、ここまでの半世紀の間ばら栽培の環境もかなり変化してきました。栽培品種の多様化はHTばかりでなく、FL、CL、ミニ、オールドローズ、イングリッシュロー ズなど栽培方法も地植え、針植え、水耕、礫耕栽培など、さらには環境にやさしい栽培方法など変化にとんだ事例が多くなってきております。
今後、私達バラ会員は状況変化をよく見守りながら、ばら栽培を楽しくできる工夫を自ら創作していくべきでしょう。あくまでも、生活に密着したばら栽培でもあるべきでしょう。今回の福岡バラ会創立50周年を振り返りながら、バラ会創設者の方々、特に発起人の皆さん、多くの諸先輩の方々に感謝し、これからの福岡バラ会を自らさらに充実、繁栄させ前進していく役目がありましょう。
終わりに、本稿の取材にあたって種々ご教示 いただきました顧問役の釜瀬真寿さん、副会長の赤司廣次さんに謝辞を申し上げます。
(参考資料) ローズ・ふくおか創立30周年記念号(1981) ローズ・ふくおか創立40周年記念号(1991)