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ローズ・ふくおか アーカイブス 2010 「オオタバコガの卵―729個」

オオタバコガの卵―729個   本多 昭治
平成22年/2010 No.21 掲載

 所用で留守にしたり雨などで5日間、地植えのH・T123本の見回りができなかった 翌日の10月13日、バラ園に降り立って最初のマダムビオレの蕾にオオタバコガの卵が数個、次にも又次にも、胸が高まり夢中で拇指の爪でつぶしていたら、その数なんと394個!

 平成22年9月17日から10月19日までの約一カ月間で、合計729個の卵をつぶしたことになる。

 さらに見逃して被害を受けた花枝20~30本は切除したが、10月22日、23日、24日のバラ展のコンテストにもいくつか入賞し、大過なく終わったことに安どした。

 そもそも、福岡バラ会に入会した平成7年から蕾をかじる虫がいることには、うすうす気づいていたが、何もわからないまま、自分なりに卵をつぶしながら、なんとか被害を最少限にくい止めてきた。

 しかし12年、14年と被害が増加してきたので、関係資料を探していたところ、16年に日本ばら会発行の「ばらだより」の12年8月号(NO.527)をやっと発見し、さらに18年には5月号(NO.595)でオオタバコガの詳細な概要を知ることができた。

 私のバラ園の状況も含めて、まず発生の時期としては、梅雨明けの6月末から7月にかけて、丁度2番花の時期と重なる頃、また秋は9月上・中旬の新芽の時期と、9月下旬から10月中・下旬にかけての秋バラの時期ということがわかった。

 オオタバコガは夜行性で、1匹で2000個の卵を持ち、主として蕾に1個~3・4個を産みつけ、卵は3日後に孵化し、幼虫はすぐに蕾の中にもぐり込み、蕾の中をかじり、蕾に大きなダメージを与えて外に出てくるということで、一度孵化させたら、手の施しようがないということがわかった。

 農薬としては、アファーム乳剤(約1000倍)とスピノエース顆粒水和剤(約3000倍)が有効ということで、前記の時期に一般薬剤と混合して、1週間間隔で交互に散布している。(新芽の時期は1.5倍に薄くしており、またこの両薬は他の虫にも有効なので、オルトラン等の殺虫剤は同時に混入しないことにしている。)

 ただし、私の基本的な考え方は、徹底して卵の時期に拇指の爪でつぶすことである。

 直径約0.4㎜とやっと見える程度であるが、新芽の赤、やや大きめの蕾のうす緑等の背景に、真っ白な卵は、はっきりしているので十分発見できる。したがって、発生の時期には毎日朝と夕の見回りが必須となる。

 なお、オオタバコガの成虫は黄金色の1.5~1.8cmと幼虫より小さい「ガ」で、薬剤散布の時等急に飛び立つことがあるので、補殺できれば効果的である。

 下の参考資料や私の体験から述べてきましたが、地域によりオオタバコガが全く出現しない庭もあると聞いており、運が良い方もおられると思いますが、現に困っている方、また今後それらしい状況になった場合の参考になればと思っております。

◎ 参考資料 日本ばら会発行「ばらだより」

  1. NO .527(平成12年8月号)
  2. NO .595(平成18年5月号)
  3. NO .634(平成21年8月号)

付表  オオタバコガの過去の記録(バラの日記より)

注:実行し記帳した分のみ