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ローズ・ふくおか アーカイブス 2000-11 松葉からダイオキシン

松葉からダイオキシン   田中丸 善彦
平成11年/1999 No.10 掲載

 「松葉からダイオキシン」という1面のトップタイトルが目に飛び込んできた。

 5月23日付の西日本新聞夕刊である。内容は、九州・山口の51地区でグリーン・コ ープ生協が実施した汚染調査の結果である。人体には影響が無い数値ではあるが、調査の全地区でダイオキシンが検出されたというのは何となく空恐ろしい気がする。

 それにつけても、先日のあるクラブでの昼食会で、春のばら展のPRをしていた時の話題には考えさせられた。

 Aさんが「バラの花は綺麗だけど、食卓などの身の回りにはあまり飾らないほうが良いそうですね」というのである。

 「バラの花は、消毒で有害な薬品漬けになっているから」

 バラの花の薬漬けというのは、どうも、伝説的になっているらしく、環境汚染に敏感な人にはその様な受け止め方になるのたろうか。

 ビックリして「薬品は使うが、そんな事はありませんよ」と笑ってたちどころに否定はしたものの、一寸、顔は引きつっていたかもしれない。

 誇張された話として一笑に付すことも出来ないのではないか。

 市街地に在住のバラ会員がばら園の消毒を始めると隣近所の家の窓がジワーツと閉められるという話も聞いたことがある。

 ゴルフ場の農薬が問題になったことがあるが、私達が使う僅かな薬も、将来のことを思う時に、果たしてこれで良いのだろうかと反省させられる。

 私達には、かけがえの無い「青い地球」を、 私達の子孫のために、薬に汚染された状態でなく、美しいままで残していく義務がある。たとえ、僅かな農薬でも心して使わなければならないと思う。

 先日のお庭拝見ツアーで生の松原団地の林さんのお宅に伺った。

 玄関の車庫の入り口に掛かった可憐な「ピェール・ドゥ・ロンサール」のアーチや、二階まで伸びた白い「もつこうばら」のブッシュに見とれているうちに、ふと気がつくと、ガーデンセットの傍に「消毒には漢方薬を使っています云々」の可愛い立て札が立てられ ていた。

 自然派の林さんの近隣にたいする気がねからであり、心配りであろう。

 シンガポールに長年住んでいる友人の一人 から「ニームの木」から抽出された植物成長促進剤「BIOACT』の紹介を受けた。

 インドでは金持ちの大邸宅には必ずこの木が植えられているという。

 この木が植えてあると虫が寄って来ないというのである。

 特に、ドリアンなどの高級果樹園には所どころ虫除けにこの木を植えてあるそうだ。数百年、いや数千年の歴史から生まれたインド人の智恵であろう。現在では「インドの宝」といわれているということである。

 この「二一ム油」は虫除けにとどまらず、減菌、滅菌作用もあり、植物成長促進作用にも優れているところから、これにアメリカの薬品会社が着目し、この「二ームの木」のエッセンスを主原料に 100%植物性の原料をブレンドして作つたのがこの植物成長促進剤 『BIOACT』だそうだ。

 数年前には国連のWHO((国際保健機構)もこの薬剤を人や環境に優しい、植物成長促進剤であり、害虫忌避作用を持ち、更に、滅菌、滅菌作用のある次世代型の『化学農薬に代わる農薬』として推奨している。

 ばら会の方にも何人かテストして頂いているが、日本国内でも早く販売が出来るようお手伝いをしているところである。

 林さんの漢方薬もそうだが、人や自然に優しい薬剤があれば、情報交換をして行きたい。自然環境の保全は、私達一人一人が身近なところから心掛けて行かねばならないと思うからである。

(2000年5月26日 記)