ページ

ローズ・ふくおか アーカイブス 2010 「私のバラ作り」

私のバラ作り   川添 敬子
平成22年/2010 No.21 掲載

 バラ歴約4年、ハイブリッド・ティー11本、フロリバンダ3本、ミニバラ5本、ツルバラ1本、自宅は東南に面したマンションの2階です。道路からは、7階くらいの高さがあり、陽は良く当たるほうで風通しも良い方です。ベランダで鉢栽培しています。その時々の心の持ち方で試行錯誤を繰り返し、この頃は大輪のバラが咲くようになりました。

 毎月1回バラ会の研究会に出席して、講義を聞いています。大切なことの一つに土壌の性質を知りました。土壌の物理性を表す、固相、気相、液相という言葉がありまして、固相はその土壌が含む固体(真の土分)、気相は空気(団粒の間に空気がたまる)、液相は水分(細かい粒子の間に水がたまる)です。これらのバランスが良いと、根はすくすくと伸びることができます。また、保水性(水持ち、乾きにくさ)、排水性(水はけ)、通気性(土壌粒子間の隙間)という言葉もあり、これらの性質のバランスがとれた土を、バラの好む良い土ということを知りました。

 鉢植えは、制約された土の量で生育するので、鉢土はよく吟味する必要があるそうです。上記のようにバラの好む土質は、気相、固相、液相のバランスがとれたもの、具体的にいえば保水性、排水性が良く、空気を程よく含む土になります。水やりをしたときに、鉢土の表面にとどまり、しばらくしてスーッと抜けるのが良く、逆に抜けずにたまっているものは、良くないそうです。また、鉢の大きさにもよりますが、夏場に一日1回の水やりで済むようなものが理想的のようです。

 鉢植えの水やりで気をつけていることには、ただ漫然とやっていてはいつまでたっても会得できません。乾いたらやる、水は乾いたらやるのが原則だそうで、鉢土がいつも加湿状態では根は勢いよく伸びません。表面の土が乾いたら水をやります。ただし、旅行などで次に水やりをするまでの間隔が開く場合や、日光や熱で土が乾燥しやすい夏場などには、安全性を重視して湿っていてもやっておくというのも、たまにはやむをえませんでした。

 乾燥して枯死するよりは、加湿状態の方がまだ安全だからです。与える量は、鉢底から水が流れ出るまですることによって、土中の空気が新鮮なものに入れ替わるそうです。また、土の表面だけに水をやると、根が水を求めて根が表面に出てきてしまうので、根が下に伸びるように、水はたっぷりやる。たとえば、雨がパラパラと湿り気程度に降った場合は、根が上に伸びてくるので、改めて水をやる必要があるということも教えていただきました。バラの根は、乾湿が交互に繰り返すのを好むものだそうです。やる時間は、どちらかといえば朝のほうがよく、ホースで直接やってよい。葉の上からでなく、根元に直接水をやるのが良いようです。

 鉢の植付け、鉢の置き場所、鉢の植替え、土替え、鉢替え、誘引、除草と清掃、台風対策、剪定。剪定は、慣れるまでなかなか踏み出せないものでした。剪定の目的は、樹形を整え、主幹の本数を制限し元気な枝の長さを詰めてやる。こうすることによって、樹形は整って、充実した花が数多く咲き、新しいシュートの発生を促して、若さを保つそうです。

 剪定は大変重要な作業というのも知りました。鉢植えの場合は株をなるべくコンパクトに仕立てることが望まれ、そのうえで沢山の花を咲かせると見栄えがするそうです。剪定ばさみの使い方、枝を切る位置、内芽と外芽、切り戻し、芽かき、鉢植えの施肥、施肥量の算定、肥料の施し方、難しかったのは薬剤散布です。一つ一つ学んで、コツを覚えて、積み上げてゆく大切さを実感しています。私は、どのように美しく育てるかを無意識のうちに優先していたと思います。

 それから覚えなくてはならないものに、バラの分類がありました。バラの性質、樹形から大きく分けて3つに大別できて、一つ目はブッシュローズ、枝が直線的に出るバラで木立ち性のもの。ハイブリッド系、フロリバンダ系、ミニチュア系等。

 二つ目は、シュラブローズ、枝が曲線を描いて出るバラで、ブッシュとクライマーの中間的なもので、やや高性になるものや半つる性になるもので、オールドローズやイングリッシュローズの大部分、野生種の一部、モダンローズの一部(現代バラ)が含まれます。

 三つ目は、クライミングローズ、つるバラのことです。このことを意識して手入れをする、このことが分かってから手入れが楽しく思えるようになりました。ブッシュローズのブルーシャトウのベーサルシュートに1枚の葉が三つも出て、その芽も数のうちに入れて1回目のピンチをしても良いことを教えていただきました。芽のつみ方ですけれども、自己流でしていたことに気付きました。そして弱い枝を切って、太い枝の一本を育てるということを教えていただきました。

 ベーサルシュートのピンチができるようになるまでは、頑張ってみようと思います。バラの鉢と向きあっている私がいて、好奇心を持ち続けられるまで、バラにかかわっていけたらと思っています。ある時には葉がなくなってしまったり、うどんこ病が発生してしまったり虫がついていたり、色々ありますけれども、美しく可憐に咲くバラを観ていますと、苦労したことがいっぺんに吹っ飛んでしまい、喜びに変わり心を豊かにしてくれます。

 益田先生の自宅マンションに伺いますと、窓口にバラが飾ってあり、奥様の写真と一緒にバラがあって、先生の優しさが伝わってまいります。お体をいたわって、お元気でお好きなバラを楽しんでいただけますよう願っております。

 私もバラを楽しんで行けますよう、努力してまいりたいと思っています。
 ご指導して下さいました中川先生、会長様、先生方に感謝いたします。