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ローズ・ふくおか アーカイブス 1993-5「盛夏座談会」

盛夏座談会 (ばら会活動を中心に)
平成5年/1993 掲載

  • 日時:平成5年7月10日 午後2〜5時
  • 場所:東本願寺会館
  • 記録:徳島、唐杉
  • 出席者:釜瀬、内藤、小林(彰)、小林(正)、甲斐、鴨川、瓜 生、小田、松尾(東)、東、高橋、岩本、徳島、桑原
  • 司会:唐杉

司会:皆様、お暑い中、お忙しい中、ご参集いただきまして有難うございました。「1993年ローズふくおかNo.7」をこの秋、発刊するに当たり、座談会を掲載することにしました。今回から先輩の渡辺編集長に代わり、私が編集を任せられることになりました。先輩からの良い伝統を引き継ぎ作ら、ばら会発展に向けて、微力ですがお役に立ちたいと思いますので、これからもよろしくお願い致します。

さて今回座談会は、前々回「No.5 ローズふくおか」での座談会を受けて、あのときは題して「ばらの手ほどき」という題で主として初心者向けにばら作りの基本的な栽培要領がテーマになりましたので、今回はちょっと趣きを変えて、ばら会会則に則り、活動運営がうまく行われているか、どこに問題があるかというところから始めたいと思います。

1. 研究会の開催内容の反省

司会:

まず、研究会の内容について、最近の研究会は どうもマンネリの傾向強く、そろそろ新しい趣向 を取り入れたらという声が聞かれるようですが、 この辺りの御意見をきかせて下さい。

瓜生:

ベテラン向きの話が多いようですから、いま少し、 初心者へ向けた基本の説明が必要ではないでしょ うか。また、階層を分けて話すことも必要になっ て来ているのではないでしょうか。

甲斐:

やはりベテラン、初心者と同じ場所で話しているところがマンネリ化を招いているように思う。

松尾:

ばら会をもっと活性化するためには、どうしても 初心者の対応、婦人層の対応が特に必要だと思う。 全体的に御婦人層の参加が活発になることが、ば ら会の活性化と直結していると思うので、特に初 心に近い御婦人層とのコミュニケーションの活発化が必要だと思う。

赤司:

分科会方式は如何。会場が狭い制約もあるが、時間を有効に使うために、少なくとも希望者毎の分科会を催す必要があるようだ。

鴨川:

毎回毎回出席する者にとって、新鮮味が伝わるような開催方式を考えてみる必要があろう。

松尾:

問題の提起というか、どんなベテランと言えども、問題を持たない人は誰しもいない訳で、それをお 互いに交流し合うことが刺激を呼ぶのではなかろうか。自分にとってためになる。興味を引くもの がなければ、中々毎回出席という訳にいかない。

小田:

ベテランの人たちも、いま初心の方がどんなところに悩みがあるのかを自分が初心だった頃に立ち 返り思い起こしてみること。研究会もそういう意図で行事企画することが基本である。

司会:

ばら栽培の指導について

徳島:

可能の限り、直接教材に触れるような方式が必要である。口だけで言うより、実物の鉢に植えられたばらがそこにあるだけで生きた研究会になる。

岩本:

基本的には新苗の育成からのスタートに始まり、消毒をベースにした生長過程、整枝、開花、施肥 に至る年間サイクルを繰り返すことだと思うが新しい内容を盛り込み作ら、説明していくことに難しさがある。

釜瀬:

机上の空論にならないように、実際面の失敗、悩み、問題などを汲み取り作ら、対応していくことが必要ですね。

小林:

毎回毎回出席の中にも、マンネリ化にならないようなキラリと光るもの、出席しても何にも得るものがなかったということのないようなタネを絶えず探す努力も必要ですが、あく迄も基本には忠実 でなければなりません。

小田:

例えば、実物教育、テーマに即応したサンプルを10鉢程度用意しておきながら、会場で講習会をやる。特にいまは生活環境の関係から鉢、ミニなど の栽培が増えていることを決して忘れてはならな い、そういった内容を盛り込んでほしい。

唐杉:

出席者の方に予め研究したいテーマを受けつけ、そのテーマについての討論を進めるような配慮も必要。特に新人層の方が、いまどんな悩みを持っ ておられるかを知る必要がある。それとこういう ことを質問すれば恥ずかしいとかいう気持ちを起 こさせる雰囲気を何とかなくすような気配りが必要。

2. ばら展の開催について

司会:

春秋のばら展開催に当たって、例年婦人部の方々の並々ならない御苦労があり、花を集める苦労、 会場を飾りつける苦労など、その奉仕は、もはや 限界を越えているかのような感じがする。果たして現状でいいのかどうか、討論してほしい。今年春の展覧会はどうでしたか。

小林正:

桜前線が遅かったこともあって、ことしは例年になく遅咲きで、300本ほど切り花を購入して間に合わせた。小田さんのハウスの花がタイミングが合ってくれて、とても助かった。特に春の花は、 タイミングを取るのが難しい。露地咲きは早めようにもどうしようもないことだし。

松尾:

ばら展の設営はいつも大変なもので、我々がコンテストのためだけに花を持ち込むことがとても出来かねるような感じがする。少なくともデコレー ションに出品した方の名前を掲げるようなことだ けはボッボッ考えるようにしないといけないのではないか。ただ、これが余り激しくなると、昔やっていたころ、出品者が競争して出すようになり、それが悪い方向に行ったために、中止されたと聞 いているが、それはともかく、来たお客さんに対して、これが私の出した花ですよ、と言うような、持ち寄った花で、できるかどうか問題かも知れないが、何かこう........、ベテランの人の出品だけでなく、初心の人の作品も出て来るんではないかと思う。

司会:

以前はどんな風にやっていたのですか。

釜瀬:

もうかれこれ30年程にもなろうか。8区画ほど、出品コーナーがあり、これは誰作、これは誰作ということで名前をつけてやっていて、金賞、銀賞つまり、コンテストスタイルで、運営されていた。最初は、それが豪華絢爛で素晴らしかったが、悪 い面が出て来るようになり、出品者も限定され、 それが行き過ぎて固定化されるようになって、も うあの人にはかなわんということになって、段々 デコレーションへの出品者が年々少なくなっていっ た。そのころがデコレーションの最も見どころの 時代と言える。

司会:

飾りつけはどんなふうにしていたか。

松尾:

勿論別のコーナーがあり、デコレーションはデコレーションでやっていたので、そのコーナー独自もコンテストをやっていた。 釜瀬:ところが段々と出品する人が少なくなっていき、最後は4人になってしまった。このように、誰それの出品コーナーとなると、 出品点数が次第に少なくなっていき、却って逆効果を招くようだ。

甲斐:

この花は誰の花か知りたいことがある。それからデコレーションを誰がしたかも興味がある。

松尾:

めいめいに記名するのは必要ないが、何か報いる方法を検討する必要がる。

瓜生:

出品者の名前をつけるが、コンテストはしないというのが、熊本ばら会のやり方のようだが、ばら祭のようにやったらどうか?コンテストをやらない訳ではなく、そのウェイトを少しばかり小さくする。

松尾:

婦人部の方にお礼を言う機会もないし、その労に報いるために何とか名前を残してほしい。

東:

そう思っていただくだけで十分よね。(出席の女性会員に向かって)私達お金を出している訳でもないので。

岩本:

折角花を出して下さっているのだから、その名前だけはのせても良いのではないか。また、昔の弊 害がでたというのに対しても、デコレーションのコンテストになっても構わないのじゃないか。花器とか壷とかが入って来ると良くないが、デコレー ションにかける時間が大きすぎるので気の毒に思う。自由なコーナー、名前を出すコーナー、皆んなが協同するコーナーいろいろあってもいい。

小林正:

名前を出すにしても、配色によるデコレーションになるので、3〜5人の協同コーナーなど如何。個人コーナーだとギクシャクすることになろう。

小田:

かねてから思っていることをこの場で提案させてほしい。それは初日はコンテストなしにして、ばら祭りだけにする。会員はだれでも持って来られるようにすることだ。ステムは短いが、花がきれいなので、飾り花にするという雰囲気がほしい。また初心者の方が、うちにこんな花が咲いたから持って来たよということが自然な中でできることが、ばら仲間として大事なことだと思う。特に初日はデコレーションはゼロからの設営であるから、飾り花はするよ、コンテストはするよでは大変だ。 自分の出品花まではとてもいかない。ミニ、フロリも入れた全員参加のばら会にしてはどうか。4日間もコンテストがあるのなんて、ウンザリする のではないか。

松尾:

初日の混乱ぶり、特に婦人部の方の忙しさは、初日の舞台裏に来てみなければ判らない。冗談言える雰囲気もない。

甲斐:

小田さんのご提案は、全くその通りだと思う。それは初心者を育てるということにもなる。いい考えだと思う。

釜瀬:

わたしも良いご意見だと思う。会場の玉屋にしても、デコレーション主体を喜ぶとおもうし、コンテストなど、どうでも良いのだ、コンテスト中は、 ロープを張って中に入れないようなのは、余り歓 迎していない筈だと思う。

鴨川:

天賞ばかり取られる小田さんが、そうおっしゃるのだから、大いにそれにそってやられたらどうだろうか。

小田:

更につけ加えると、審査員、役員出品コーナーというのもほしい。ばら会の最高水準がどこに のかを示すとともに、逆の言い方からすると、ベ テランの方もズボラされないような名誉を重んずるというか、お互いが切磋琢磨し、技術向上につなげる。こんなのが1〜2日はほしい。

松尾:

初日の締切り時間は、2時間位遅らせたらどうか。これは婦人部の方の御意見しだいだが。

東:

デコレーションの立場から言うと、それは却って逆。又、帰ってから花を切って来ることになり大変だ。従来通りの方がよい。

徳島:

そのことからだけでも、初日がいかに婦人部の方に負担がかかっているかが判る。初日の審査なしというのは充分検討に値すると思う。

桑原:

4日間のコンテストというのは本当に疲れる。3日で良いと私は思う。

小田:

初日のばら展は3本、5本作っている人も是非持って来て、会場に花を添えてほしい。

東:

そして、出品した人全員に何か記念品をさし上げるとか......。

赤司:

いろいろ貴重なご意見が出ました。ばら展運営については、この場では決められないことですが、 次の役員会にてもう一度討議していただくこととしては如何でしょうか。

3. 優良品種の紹介斡旋

司会:

次に福岡ばら会の事業として4.に優良品種の紹介斡旋とうたってあります。現在の運営でいいのかについて話を進めて下さい。

岩本:

優良品種と新品種は一致しないのが常であるので、記事として紹介している。配布品だけだと新人の方への指導が不足すると 思うので、ハウツーを良く説明して、配布すべき と思う。配布品は色が中心の言い方しか出来ていないが、一般の優良品種を作出者にコメントして もらうなど、作った人でないと判らないこともあ るので。もし、それが出来ないものは、ベテランの経験の声を記事にするなどの配慮がほしい。

小田:

新種紹介のときに、栽培の要領がほしい。ソフトピンチをどうするのか、暗中模索でやっている。 先輩、先験者にメモを取って、今年度の配布苗を決め、栽培されるときの手順等は必要。肥料の多 寡、ピンチ方法などについての説明もほしい。

唐杉:

太田さんのマダムヒデは難しいですね。花は高芯剣弁で気品よくまとまっているが、仲々良い花が揃って咲いてくれない。ショックを受けやすいのか、ピンチにつなごうとしても思うように芽が出てくれない。地元ではあるし、得意花にしたいのだけど、そこのレベルまでいかない。何か原因ある筈だが。

小林:

新しい品種を毎年追っかけていると、各社から 数十種類は取り寄せなければならないし、とても大変だし、そんな場所もない。結局、その中から、 これは良さそうだというのを型録から探し出して、 花を見るのだが、他の人にさきがけて手にし、咲かせてみるというのも愛好者の楽しみの一つでもある。中にそういう目的と現実の姿が一致するというのはないが、最近赤花で緋衣というのが出た。 仲々赤色で良いのがない中で、これは良い花と思う。

4.お庭拝見

司会:

ことしは5月のばら展の1週間前の日曜日に、福岡市の西区を中心にして、内藤、小柳、大神、 河部、小林宅と5ヶ所のお庭拝見をさせてもらい、 有意義な一日を過ごすことができました。

徳島:

栽培の苦労話どういう苦労があって今日を迎えたとか、土地環境上でどんな配慮をしなければなら ないかなど、いつも生きた勉強をさせてもらっている。

小田:

お庭拝見は本当を言うと、春だけ咲いたときでなく、いま頃の時期がいちばん大事であり、参考になると思う。春枝をどうつないでいるか、シュー トの上がった程度とか、それをどういう処理しているかとか、一番おもしろい時期に当たる。もう秋花の準備が終わっているステムもあればいまからのものもある。

鴨川:

花のときに来ても、実はもう勝負決まっている。勉強になるのは、今の時期であるのは間違いない。 栽培に熱心な方によっては、自分の秘策を見られるので、つらい人もおられるかも知れない。そんな大切な時期であるのも確かである。ただ、出来上がったものを見たい人とプロセスを見たい人とどちらが多いかとなると、前者かも知れない。

唐杉:

費用の点もあるなあ。貸切バスだと高くつくので自家用車で乗り合いで行くとなると、そういうプロセス過程を勉強するチャンスも出て来る。

小田:

いつもプロセスを見るのでなく、何年かの中で、1回はこういう企画もあっていいと思う。

小林:

個人の車で分散して行くようにすると、住宅地の場合、駐車場に困るときが多い。ケースバイケースにならざるを得ない。

松尾:

自分の木が良く育っていると思っていると他に行くと、そこがよく出来ていてグシャリとなることがある。そして又、自分ところに帰って見ると、 又、自分のが良く見えて来たり、ばら作りはヘンだと思うことがある。他所を見ることはそれだけに大変参考になる。

小田:

ピンチの仕方、作り方も一幹一幹違うし、枝の遊ばせ方も一幹一幹全部違う。

釜瀬:

今年は、お庭拝見は体調が思わしくなく失礼しましたが、お庭拝見させてもらったところのご当主に、説明をしていただくということが必要じゃないかと思う。ご主人も言いたいことが必ずあると 思うし、聞く側もきっと参考になると思う。

赤司:

最近は、大体年1回春に行われるみたいだけど、回数はこのくらいのもの。これ以上だと予算にひびきますからね。それといつも水町さんの紹介で安いバスが使えたけど、これからはそうもいかな くなりましたね。

唐杉:

小柳さんところ、今回初めて見せてもらいましたが、御主人ともどもばら作りに対する熱意がじかに伝わって来て、ほんとうに嬉しかった。感激しました。また、栽培のレベルもほんのちょっとしたところに手が加われば、3部にとっくに入っている筈と思えるほどのもの。いままでは、主にベテランの方を中心としてのお庭拝見だったが、今回小柳さんを見せてもらって、2つ考えた。まず、初心に近い方ほど、仲々自分の庭を皆さんに披露するのには勇気がいるし、経済的な負担も或る意味では無視できないということ、しかし、一方では、いったんお庭拝見が実現してしまった以上は、その反響を逐一知りたいと思われるに違いないと いうこと、この2つの点をよく気配りしなければ、 お庭拝見をした人も失礼になると思いますし、された側もストレスがたまるのじゃないかと思う。

小林正:

今年2月でしたか、剪定の時期にさしかかって、小柳さん宅に主人と2人でお邪魔しました。樹がよく出来ていて、お庭も広いし、是非皆さんにお伝えしなければと思い、今回無理にお願いするこ ととなりました。花の時期におおいをされるためのパイプもその後購入され、大変だったと思いますが、御主人が大変熱心なので、必ず3部で活躍されるようになると思います。

東:

私の知らない品種で古い株があり、良く育っているので、驚きました。栽培の水準も私から言っては何ですが、もうとっくに3部に入っておられて不思議はないと思います。花を持って来られなかったからだと思います。

徳島:

これから初めてお庭拝見をする方に対しては、特に「お庭拝見アンケート」とでも言う用紙を配って、メモにしてもらうようなことがある意味では礼儀になるかも知れませんね。だって、それだけの苦労をされているから。

松尾:

こんなことを言うと嫌われるから書かないというのでなく、ビシーッと痛いところまでつっ込んで書いた方がためになると思う。

唐杉:

見せる側からすると、耳の痛い、不愉快な気持ちにするかも知れないことか?
実は、自分にとって最も大切なウィークポイントだったということもあるだろう。

釜瀬:

新人の方から私の庭を是非といわれるようになったら素敵でしょうね。

甲斐:

:そう。拝見後のフォローが必要でしょうな。

5. 新人層の育成

司会:

これ迄たびたび話題になりましたが、これから毎年ばら展を中心に入会される新人の方をどのように育成し、会の発展につなげていくかは、結局は、全国組織の日本ばら会の大きなテーマでもある訳でして、昭和30年も初めの頃、全国的に爆発的に発生したばら愛好者が、高齢化でその後の展開が停滞する中で、完全な断層ができていることに対しては、重大な問題ととらえております。当然のことながら、新しい会員が増えなければ、会の発展は先細りになるわけです。

瓜生:

いまの研究会の運営は栽培法に力点をおいているが、限度があり、マンネリ化に陥っているのが実状ではなかろうか。コンテストに出品しないばら会員もたくさんいる中で、ばら会を発展させるためには、どうしても婦人部、婦人層の力が大きいと思う。婦人層のばら会への定着こそ大事だと思う。具体的には、ばらにまつわる諸般の知識、コサージの作り方、写真の撮り方、ばらの花ことば、 ばらの文化史などを研究会の中に盛り込むことで、案内の中にテーマを予告しておいて、参加者の反響を見るなど工夫が必要。

徳島:

佐賀ばら会は年間プログラムを作ってあり、いろいろのテーマを織り込んであっていいなあと思っ た。福岡ばら会にもそのアイディアを取り入れたらどうかと思ったので、ローズふくおかの中に、 懇話会概要報告の中にも盛り込んだ。栽培技術一辺倒でないものが必要であるので是非強調しておきたい。

松尾:

新人部には、奨励賞的なものを盛り込むとか、自由出品とでも言うようなものも設けて門を広げてみては如何かと思う。

司会:

ばら会である以上、どんなに趣向をこらしても、栽培を基本とすることには変わりはないわけで、 ミニにせよ、フロリにせよ、鉢植えにせよ、共通とされる栽培法は、コンテストを中心とする、HT品種に結局のところ、行きつくことになる訳で、 ばらをうまく上手に育てて上げることがまず基本にあります。
その意味で、初心者に対して、取り敢えず5本を栽培のしやすさ強健さなど考慮し、取り上げるとしたら、どんな品種になるでしょう。ここに出席の皆様からアンケートを取ってみましょう。

これによりますと、コンフィ、ハイネス、ビオレ、 ランドラ、メルヘン、ガーパーが続いています。
また色別にすると(以下)別表2のようになります。(編集部)

赤司:

ただ、ひと言で色と言っても、バラの場合は、決めつけるわけにはいかないものが多く初心の方は色から始められる思うけれど、必ず、飽きが来るもので、熱が入るにつれて、はじめの頃の苗は捨 ててしまう傾向が強いようです。

桑原:

皆さん、割と消毒に手がかかるような品種を選んでおられますが......。

甲斐:

逆に病気に強い品種はどれかと言っても、そう無い。結局バラ作りに消毒はつきものだということになる。

岩本:

ローラ、ビオレ、みわく、ランドラ、あたりが強いのでしょうかね、他は、極端にウドン粉に弱い品種クリスチャンディオール、コンフィダンス、 シージャック、ロイヤルハイネス、ガーデンパー ティ以外は似たり寄ったりというところですかね。

司会:

小林さんの緋衣ですが、これは配布苗でしたよね。

小林:

バラには赤で良いのがなくて、どれも一長一短で決め手がない。そこへもってこの緋衣だが、仲々良さそう。まだ判らないが、期待をこめての意味がある。

司会:

赤色では新花でレディマリーがありますが、あれば花持ちが抜群ですね。ただ葉の格好が良くないようです。

東:

あれ好き、色がすばらしい。ことしの新種だけど、作り込んでみないと判らないけど、割と多肥のようですね。

司会:

ミニバラではどんな品種がありますか。

東:

リトルアーチスト、スタリナ、マリカ、オレンジメイアンディナ、ベビーコクテール、バースディパーティー、ゾンネカインド、八女津姫

瓜生:

そのゾンネカインドですが、あれはどうもおかしい、日本版にした会社がドイツ語を英語読みにしたきらいがある。本当は太陽の子(ゾンネキント)という名だと思う。

6. 栽培法の鉄則について

司会:

初心の方に栽培で一番大切なことは、何ですかときかれたら、どう答えたら良いのでしょうか。

釜瀬:

1に消毒、2に消毒3、4がなくて5に消毒。 (司会): というと消毒が全てで他は何もないことになりますが。

松尾:

そんなこと言っていたら、誰も栽培しなくなりますよ。この間の研究会で私の隣りに座っておられ た方が、4日に1回必らずと言われたが、私は、これは極端じゃないかと思っている。1週間に1 回が全ての原則だと思う。

東:

雨がふらなければ、2週間に1回でも構わない。

松尾:

1回雨が降っても消毒はしない。2回降ったら消毒というようにしている。

小田:

2週間経ってから消毒したが、来なかった。だからじっくりやれば、2週間に1回でも良いのかも知れない。

唐杉:

内藤さんは2週間説でやっておられますね。

内藤:

ええ、私のところはそうしています。皆さんにも勧めたいのですが、うどん粉が来ても補償はしません。多分徹底散布により、2週間はもつと思います。

甲斐:

黒点は雨が降らないと来ないのですかね。

松尾:

起こらないと思う。プロの連中はハウス栽培だから黒点の話題はない。プロの本にはウドン粉の世界ばかりが書いてある。また、プロは夕方には決して消毒しない。あの人たちは、いっぺん葉をやられたら何十万、何百万円の損になるからして、葉を痛めるような恐れがある防除カレンダーは作らない。午前中のまだ日が浅いうちにやる。ベト病が最も怖いので、水やりの時間も日中に済ますように心掛けている。ハウス全体がカラッと乾いていなければいかんらしい。

鴨川:

最近の環境汚染問題、健康問題を考えると、消毒をしないですむ方法がないものか。最終的には、消毒のいらないやり方が来ることを切望しているのだが、そういう時代は来ないのだろうか。

唐杉:

先ごろ、宇部の原田会長(前会長のお兄様)に会う機会があって、そのときの話だが、外国では、消毒など全然やらないようですね。デビルとかパーフェクタとか、日本のコンテストだとどれも1等賞になるようなのがワッと公園に咲き誇っていて、呆然と立ちつくしたと言っておられた。外国ではイギリスにせよドイツにせよ、とにかくその花の見事さに圧倒されるそうですね。それに引きかえ我国のばらは何故こうも消毒づけにする必要があるのか。消毒するために佳花にならないようなものだということでした。それを聞いて、私は皆さんが外国によく行かれる理由が判った気がしまし た。湿気でしょうね。湿気があるため佳花になら ないのでは、私のハウスではコルデスパーフェクタなんて、とてもとても考えられないほど不出来 です。コルデスがパーフェクタと言ったのは何の手もいらないよという意味も込められていると思うのです。

鴨川:

消毒のいらないばらがあるのでしょうか。

小田:

最近ドイツで消毒の入らないばらが開発されたという記事を見ましたが、そういうキャッチフレー ズが通るということは、やはり消毒は必要だということを言っているのとちがいますかね。

松尾:

その花が果たしてきれいかどうかということも問題ですね。ただばら科の品種でありさえすればというのも困る。

小田:

そういう傾向が出て来たことは確かのようですが、特にH.Tについて言うと、更に美を競う品種は一般に病害に弱い欠点がある。

唐杉:

H.Tにラ・フランスが出て、更にピースが出て歴史が一枚ずつ塗りかえられたことにあるように、消毒なしで夏の葉が落ちないならば、それは1つのエポックを形成することになるしょうね。その代わり我々は逆にばら作りが面白くなくなるようになるかも知れない。

徳島:

最近、毒性がなく、安全性が高いというキャッチフレーズでうどん粉病の特効薬の紹介をしてある がどんなものだろう。重炭酸カリウムにある種の乳化剤などでくるみそれを葉面で散布すると効果があると書いてあって、東亜合成でカリグリーンという商標で登録するらしい。

唐杉:

以前「農業と園芸」の中にカリウムの葉面散布が効くことを書いてあった。あのときは、リン酸カリウムだったと思うが、カリがうどん粉に効くということなのだろう。

小田:

リン酸分が入りにくくなるのでは。リン酸分とカリ分は拮抗作用があると書いてあるが。

松尾:

葉面散布だから、極く量も少なくうすいので大したことはなかろう。

小田:

入らんと言っても入るわけだし、微妙な色を要求する花については、リン酸分が入らなくてまずいこともあるかも知れない。

唐杉:

プロの連中のばら栽培技術はかなり進んでいて、例えば、黄色を強く出すためにはどうすればいいとか、根からの吸収、葉からの吸収両面からの研究試行がかなり先行しているようだ。これは最近のロックウールベースによる水耕栽培技術がかなりのウエイトを占めるようになったから、養分の吸収作用がかなり定量的につかめるようになったためである。われわれの栽培法は土壌という余りにも緩衝作用の大きい母体をベースにおいているものだから、そのメカがよく判らないままに来ている。植木鉢は鉢土がある意味ではクローズドの中だから、敢えて言うと中間的な位置を占めるが、 われわれは例えばコンフィダンスの色がよく出るのは鉱物中に含まれる種々のミネラル分、鉄、コバルト、ニッケル、銅、マンガンなどが、極微量吸収されるためだということになっているが、果たしてそうなのかは、間もなく答えが出るだろう。もう出ているかも知れない。というのは、水耕栽培によるA液、B液の希釈して潅注する方式には、微量成分は鉄とかマグネシウムとか以外は入っていないようなので、そういう栽培法からコンフィの色が出れば、いままでの既成概念がなくなってしまうことになる。ロックウールに浸触している白根のおびただしいばかりの毛根は空気中の酸素につねに触れていることから、われわれの栽培法も根にいかに酸素と接触させるかが、問題であるというのが、いまのわたしの下手くそのばら作りを通して持っている考えである。

松尾:

この間、藤田さんというアニマルを扱っている方が、肥料の説明に来られたが、あの人の話だとアニマル以外は肥料じゃないような言い方をされたが、なる程一理あって、動物性の肥料は腐敗分解が早く、すぐに効くという利点がある。油かすなどは養分になるためには1週間10日はかかると思うがその点動物性は2、3日で効いて来る。この間の佐賀の懇話会で試験場の方が、油かすを生のまま入れると、ヒゲ根が焼けてしまうと説明しておられた。透明の容器で実験するとそういうことが判るらしい。10日~2週間は、成育が遅れるというわけ。その点、ぼかし肥料だと、腐熟が完了しているから焼けないらしい。

小田:

ぼかし肥料というとアニマルはどうなのだろう。

松尾:

あれは、ほかしではない。いっぺん熟成したものだからナマではないが、腐熟はしていない筈だ。

瓜生:

ぼかしというと有機質が発酵し、腐熟したものを言うので、堆肥のように完全に熟成されたものだとにおいも残っていないが、アニマルはそこまではいってないようだ。少なくともそんな風に聞いている。

唐杉:

肥料の話はとにかく難しいですね。どの品種に、どの時期に、どの程度やり、水分をどのくらい含ませ、土壌条件はどうで、間隔は、どうかということになると、もう、パラメーターが無数に出すぎて一概には言えなくなる。

松尾:

先だっても、藤田さんが、施肥の時期、数量を定量化して説明された。非常に参考にはなったが、 肥料のきき方は、そんなに単純化されるものでな く、一般的な概論として言われたものと見なけれ ばなるまい。ただ、業者さんはいろいろのところで研究しておられるので、参考データとしては貴重だと思う。

唐杉:

言われた通りの処方で自分では納得して施肥したつもりでも、ばら自体が、その期待に十分答えてくれない場合がある。というよりその方が、多いように思う。また葉が青々として、こいつは凄い花が咲くぞと思って期待していると案外花は平凡なものになってしまったり、よく米作りに稲の三黄というのがあって、良い米を収穫するためには、 稲は3回黄変することが必要でこんな生気のない稲で大丈夫かと心配している方が、却って収穫が良いと言われる。これが、実は、無精してばら作りをしている者にとって気休めでもあるのだけれど。シーズンを通してずっと青々としていた稲は思いのほか収穫が上がらず、味も良くないらしい。 こういうところが、ばら作りのおもしろさでもある。

7. 栽培の失敗談

司会:

かなり長時間になってしまいましたが、最後に失敗談について或いは疑問点について話してみましょうか。

小田:

ことしシュートの出が割合よかったので、春の花を全部切り、5枚葉を2枚(花の方に)残して切り、どんどん人にあげていたが、その結果シュートの出が悪い。

小林正:

花を咲かせたあとは咲きがらだけを摘んで、わき芽をずっと摘み作ら、シュートの出をしっと待つ。今年はこれを重点的に試行しています。

司会:

小田さんはとにかく日の出の勢い。まだ始めてから3年というのに、今年の春のばら展では3部 H.Tの11種目中9種目を制覇された方だから、大袈裟に言っておられるに決まっていますよ。

小田:

今年は花が遅れてしまって、誰も花がなかった。言わば選挙で言うところの無投票当選みたいなもの。フロックですよ。そんな具合で花を切って切って切りまくったものだから、その反動が来てしまったというわけです。

桑原:

あれでシュートの出が少ないとですか(皆大笑い)

小田:

ハウスの中はコンフィ、シージャックはまあまあそこそこ出ていますが、問題は露地植の方です。 露地は株当り1本出るか出ないかというところす。/p>

司会:

小林さんのやられた方法を披露して下さい。

小林彰:

先ほども説明しましたが、シュートが出るまで、がまんするような態度が必要であろうということでありまして、これは樹の生理に対し、自然の立ち振舞いをするに過ぎないのですが、シュートを出来るだけ多く出させるためには、出来るだけ葉を多く枝につけておくことが必須でそれをがつがつ芽欠きしていくうちに、樹もたまらなくなって、 根元近くからシュートが勢いよく出て来るという訳です。極めて自然の理であって別にどうこう言うことではないと思います。

甲斐:

そうすると、花はなるべく切るな、見るだけにして、見た後は花首からもいで次のシュートが出るまでジッと待つということになる訳ですが。

小林正:

極論を言うとそうなりますね。切花すればそれだけ、葉を持っていかれることになるので、切り花が過ぎると樹全体がバランスを失って勢いをなくしてしまうことになりかねません。

桑原:

小田さんところは、もともと樹の勢いが他所と比べて全然違いますので、少々のことにはへこたれることはない筈です。失敗談というのはオーバーだと思いますがね。

小田:

いや私も正直のところ、これほど参るとは思っていませんでした。 却って中庸の勢いにあるからと思っていたくらいですから、しかし現実はヘトヘトにくたびれています。

徳島:

シュートは全然出ていませんか。

小田:

いや極く最近ですが、少しは出始めたようですが。

唐杉:

だから失敗というより、警鐘というか、こういうことを極端にやるとこうなりますよという例ですね。

小林影:

花首をもぐやり方は始めてから2〜3年です。これは、いままでの過去25年間のばら作りを月別に集録並べ換えて、20数人の人のをまとめて作業をした。福島さんのは難解ですが、原田敏、成田さんのは、適確で判りやすい。秋花を咲かせる咲かせ方について実にいろいろのやり方があり、それが良く判る。毎月まとめてみたい。

岩本:

シュートを出させる原理的なものは、体内にエネルギーをストックさせておき吹き出したものを適当に人間が選別するとよい理屈だ。

小田:

6月末に切り戻すか、7月上旬に切り戻すかは品種しだい。シュートが出るか出ないか見切りをつけて切り戻す。上太り、上細りしだいで時期をずらす。何もかも同じというわけではない。コンフィのように上太りの品種は7月上旬でも十分間に合う。

桑原:

今年の秋の剪定実習はうちでするようになりましたのでどうぞよろしく。上手のところは参考にならない。下手くそのところで剪定すると、参考になる。良い芽のあるところは剪定にも力が入ります。

ここにぞと思う所に強き芽は
     剪定ばさみに力がこもる

ー桑原 睦子ー
(ローズふくおか平成3年No.6)

唐杉:

ついでに私のところの失敗談を披露しましょう。これは後日ばら便りにも詳細述べるつもりですが、 4月9日晩霜にやられたために全部を本ステムから切り戻し、約2週間遅れで咲かせることにしました。ところが、そのまま咲かせ、咲かせた後も5枚葉を花の方に4段も残し、切りまくったものだから、その結果はてきめん。罰が当たっていまもってシュートも出ないし、樹勢が回復しません。本ステムを切り戻しすることがいかに樹を痛めるのかが本当によく判りました。コンフィダンス、 シージャック、みわくの一部、それにメルヘンケーニギンといったところは、何とか樹勢回復しそうですが、他は全部細いステムでまともなのは1本もないありさまで、本当にヒドイことをしてしまったと悔やんでいます。来年迄に回復してくれるかどうか心配しています。

小田:

本当じゃろうかと疑ったわけではないが、どんな有様か向学のためと思い翌日、行ったところが、想像をはるかに超える惨状だった。切り戻し開花後、花をもぎ取る程度にしておけば、良かったとおもいますが、あとの祭り、気の毒です。秋のばら展は結局、コンフィ、シージャックの出品となろうから何本か咲けば良いのですから、まだ、息の根が止まったわけではありません。

唐杉:

余りの惨状のショックのために写真を撮り損なったのが残念です。
   ではこの辺で。