緒方道雄さんを偲んで 堺 美智子
平成26年/2014 No.25 掲載
緒方さんは、昨年3月に91歳を一期としてご逝去されました。
緒方さんとのご縁は、亡夫がこれからの趣味をバラ作りにしようと決めたことがきっかけでした。そんな折、妹より近くにバラ栽培をされておられる緒方さんを紹介されました。案内された裏庭には、花の季節ではありませんでしたが、たくさんの木のようなバラが植 わっていて、隅の方には奥様の趣味のお花や野菜のコーナーがありました。
緒方さんとバラのことについてお話をする中で、主人が「高校の時の恩師の小林先生が素晴らしいバラを作っておられると聞いています」 と言いましたら、「福岡バラ会にその小林先生がおられるので、入会して教えてもらうのが一番ですよ」 と、勧めて下さいました。
間もなく入会し、小林先生から基礎のバラ床作り、植え込み、ハウス建て等細かく助言、ご指導をいただきました。緒方さんも、何かと気にかけて下さって、散歩の途中に立ち寄りましたと云ってはアドバイスを頂きました。
「堺さん、これからが楽しみですよ。七年も経つと素晴らしい花が咲くようになりますよ」と言って下さって、主人も勢をだしていました。
緒方さんは、お若いころから会社勤めをしながら、バラづくりを趣味としておられた由。 転勤で引っ越しされる時も、バラの移植の良い時期まで動かさずに、適期になって車で運び、移植されたと仰っていました。 愛情をいっぱい注いでおられたことが良くわかりました。
春には、古い大木のようなバラの木々に綺麗な色どりの形の良い大輪の花が咲き誇り、見事でした。いつかわが家の庭でも、あのようなお花を咲かせたいと・・・夢でした。
晩年は、「体力が落ちて、バラの手入れが思うようにできなくなりました」と仰っていました。そして、ある時「バラ作りを止めました。野菜作りに切り替えました」と、さっぱ りしておられました。 余りの潔さに感嘆致しました。
お年賀状には、しっかりとした筆致で簡潔に “元気です” とあり、安心しておりました。 その矢先、お別れの時が突然訪れました。バラ会の研究会、行事への参加、ポートランド旅行など懐かしく思い出されます。
半世紀以上をバラと共に歩まれた本当のロザリアンでした。誠実で、温厚で、たくさんのことを学ばせて頂きました。淋しくなりましたが、私も劣等生ながらもうしばらく、バラとともに過ごして行きたいと思います。
安らかにお眠りください。