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ローズ・ふくおか アーカイブス 2015「美しいバラの花を咲かせる」

美しいバラの花を咲かせる   江上 志郎司
平成27年/2015 No.26 掲載

バラの木を丈夫に育て、美しい花を咲かせるためには、栽培条件、根、葉はどのような役割を果たしているのか、それぞれの大切な働きを頭に入れて、月々の手入れ、栽培技術を学んでいきたいと思います。

栽培五条件

  1.  排水性と保水性の両方を備えた土 (団粒構造)に植えること。
  2.  丈夫な品種を選ぶこと。
  3.  日当たりが良く、風通しの良い環境で栽培すること。
  4.  肥料過多を避け、 肥料のやり方やタイミングを工夫すること。
  5.  予防消毒を心がけること。

土の条件

 土は最も大切な条件の一つで、有機物を含んだ団粒構造でなければならない。 団粒構造とは土の「粒子と粒子の間に隙間」が多くあるもので 「保水性」、「排水性」 の良い、ばらが喜ぶ土です。
 保水性が良いと与えた肥料、水分を土粒の間に保ち続け、排水性が良いと空気の流通も良く、細根(根毛)に酸素を充分送り込める (土中の空気の流れが良いとバクテリアがよく繁殖して、与えた肥料分を早く分解して根に吸収しやすくしてくれる)。 たとえ大雨が降っても、水分をすぐに流し去って細根(根毛)を窒息させない。土中に有機繊維質の無い、団粒構造でない土であれば全てはこの反対で、 細根 (根毛)は成育せず木も育たない。 よい土が良いバラを育てる、土の団粒構造はバラ栽培の必須条件です。

バラの細根(毛根)

 根は太い所(直根、側根)でバラの木を支え、根から吸収した養分と葉から送られてくる炭水化物を貯える役目をする。 細根(根毛)は水と養分を吸収して、地上部に送ると共に土中の空気から酸素を吸収して呼吸作用をする。細根が発達しないと、いくら水や肥料を与えても吸収しないので木は育たない。
 土中の酸素が不足すると窒息して細根は枯れるので、水や養分が送られず、葉を落として木は急激に弱ってしまう。葉に養分不足の変調がみられるときは、まず細根が何かの原因で弱ったり、枯れたりしていると考えるべきでしょう。

光合成 (炭酸同化作用)

 まず葉は空気中の二酸化炭素と酸素を、気孔を通して取り入れる。 根から送られてくる水と、葉に受ける日光によって炭酸同化を行って炭水化物 (ショ糖やグルコース (ブドウ糖)やデンプン)を作り、根から送られて来る養分と共に、花や新しい枝や葉を作る。
 また気温が高くなると、葉の気孔から水分を蒸発して温度を下げ、バラが最もよく育つ18~25°Cに近づけるける役目も果たす。バラを元気に大きく育てるには、一枚でも多くの葉を付けさせてやらねばならない。

同化作用の注意点

 小枝が茂って日光を受けない葉は同化作用ができない。自然に黄変して落ちてしまうので、小枝は間引いて全体の葉が日光を受けられるようにしてやる。病気やダニに侵された葉は同化作用ができぬまま落葉してしまう。病虫害の予防消毒を怠らないように。葉がなかったらよい花は咲いてくれない。

同化作用と温度

 葉が同化作用する理想的な光線は照度3万ルクスですから、夏の晴天時の半分が必要である。 温度は昼間が17°C~25°C、 夜間が18°Cが最も育ち、花の質が良くなる。7°C以下になれば成育が止まり、4°Cで休眠を始める。30°Cを超すと消耗が激しくなり、32°Cを超すと成育が止まる。地温が13°Cを超えると根の生育や活動が悪くなるので、マルチングや灌水、シリンジ(葉水)等もどんな時に必要かわかる。空気中の湿度や風通し等も関係してくる。

以上のそれぞれの役目を念頭に置き、わが子を育てるよう愛情をもつてバラを育てれば、必ずや会員の皆さんの庭に美しいバラの花が咲き乱れることでしょう。