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ローズ・ふくおか アーカイブス 1993-6「コルデスパーフェクタ」

コルデスパーフェクタ   唐杉 純夫
平成5年/1993 No.7 掲載

 いまから5年前、東京八重洲地下街でおこなわれた全国展のわきで、何故か知らぬが別に東北地方だけのばら展が開催されていて、そこで見たパーフェクタの凄かったこと! まったくこの世のものかと思われるほど、ばらとして完璧な花型を備えており、色も弁の中芯から黄色いムードが漂い、弁端にはパーフェクタ独特の淡いピンクをたずさえていて、たった1本のばらがすごい雰囲気で孤高を保ち、あたりを完全に制圧しているかのように印象づけられたものである。この花を作った人に少なからぬ羨望と嫉妬を覚えた。

 無論、私自身のばら技術、美的感覚など当時といまでは違っていようし、いまその花を見て同じに感じるか分からないにしても、少なくもそのときのパーフェクトなさまはご一緒だった釜瀬さん、小林さん、東さん御夫妻も等しく賞賛しておられたことからも客観的にも最高の水準であったことまちがいない。

 実はわたしもそれより2年前、当時大牟田米の山の住人だったが、そこで1本だけ見事なパーフェクタを咲かせたことがある。あまりにもきれいだったので、釜瀬さんに電話したら、「それはよかったね。芯の付け根あたりから黄色い色があがっている? ほんとうに凄いのになると黄味がさしてきてね」ほんとうのパーフェクタをみていないものだから、形の完ぺきさとそこそこの色合いで判断したのだったが、よしそれなら来年も一つやって みようじゃないかと思った時に、何としたことか。その1株に限り、紙切り虫の幼虫に食われ、花が終わったちょうどそのときがその株の終わりであった実に口惜しい思い出がある。逃げた魚がとても大きいように、その大きかった獲物をまた見んものとあれこれ模索している。

 毎年毎年、早春のあの美しい照り葉のあざやかさを見ながら、夢よもう一度と春秋の開花を待つのだが、弁が焼けたり、天井が低すぎたり、展開が早かったりで、もう来ないのかなと最近は少しあきらめ気味。今年はこれでいこう。次のようなパーフェクタ栽培法を考えてみた。

 6月中にシュートを3〜4本出させる。シュート枝にしか咲かせないように本数を制限する。シュートは3段で止める。灌水はアルカリイオン水の酸性水を1週間に2回、20リットル宛与える。8月に入ったら秋の整枝まで灌水はストップ。整枝直後からアルカリイオン水で灌水を開始。開花前3週間で灌水完全ストップ。肥料はリン酸分をウンときかせるために、なけなしのこうもりの糞を株当り250g 5月の連休に根本にまいておく。うちの土壌は有機質がまだなじんでないため、水捌け悪くよい条件とは言えないが、あけぼのはまあまあの色を出すので、運を地にまかせる以外にない。さあて、これで秋まで勝負勝負。

 パーフェクタは九州では咲かないというのが通説のようで実際、関東、関西ほど出品されないようである。その理由は出生地のドイツの緯度と九州の緯度が随分違うということにあるらしい。ほんとうだろうか。調べてみると九州福岡は北緯33°であるが、ヨーロッパは南フランスでも45°。ドイツは48°、イギリスは53°。 これは北海道札幌が43°だから、それより高い緯度である。然し、今度は平均温度でいうと、ヨーロッパは西岸海洋性気候というのらしく、まったく同じ温度分布をしている。だから緯度が違うということ、湿度が違うということが決定的なファクターになるのか。やはりやってみるしかないのである。