初心者のバラ育ての経過 下川 浩道
平成20年/2008 No.19 掲載
10年以上も前のことですが、私の実家(筑後)に、幹の直径が4〜5cm の結構 大き目な1本のバラの木が露地植えされておりました。当時、実家は年老いた両親が住んでおり、我々夫婦子供は、福岡近郊(春日)に居住し、時折、両親の様子伺いに帰る程度でした。
そのバラの木には、施肥・消毒は、もちろん、水遣りすらも、ほとんどないままだったと思います。しかし、そのバラの木は、毎シーズンその季節がくると、見事なピンク色の花をいくつも咲かせておりました。
そういう事もあり、私のバラに対する認識は、「バラというものは、ほとんどほったらかしにしても、まあ、いいもんだな」というものでした。そんな折、当時の勤め先の上司から、鉢植えのバラをいただける様な打診がありました。元来、ものぐさの私にとってのバラは「手の掛からないもの」という認識でしたので、その素晴らしい綺麗なものをいただけることは、大変ラッキーなことでした。
鉢植えのバラは、マンションのベランダで色々な機会毎に一鉢が二鉢、二鉢が三鉢と増え、20鉢ぐらいまでになりました。鉢植えの世話は、通常、妻が、潅水と、週一回程度の液肥とスプレー缶でシュッ、シュッと消毒をする程度で、まあまあの花が咲いておったようでした。冬季の剪定と鉢替えが、大仕事と言えば、大仕事だったような気がします。
時は移り、私も、定年退職を迎え、諸般の事情もあり、筑後の実家に引っ越す事となりました。今まで、家のバラ達には、狭いベランダで窮屈な思いをさせてきたので、 のびのびと咲いてもらおうと、全ての鉢をその年のシーズンが終わったころ、露地へ植え替えることにしました。 しかし、この露地植えからが苦難の始まりとなったのです。
黒星病は、はびこる上に、コガネムシからは、せっかく出掛かった芽・咲きかかった花は、遠慮なく食い荒らされる始末です。
考えてみれば、マンション時代はベランダの上には屋根がありました。バラたちが 雨とか、夜露に濡れることも少なかったわけです。住まいも、中層階で、虫どもの寄り付きも比較的少なかったのではないかなと思います。
しかしながら、このままを放置しておくわけにもいきませんので、消毒のやりかたとして、「サプロール」・「スミチオン」・「オルトラン」と「ダコニール」・「マラソン」 ・「オルトラン」の1000倍混合液を1週間毎に交互に散布してきました。しかし、 現状でも、黒星、コガネムシ等を征圧するまでには至っておりません。冬季からのな んらかの手立てが必要なのではないかと思っておりますが、はたして、その方策は?
バラ会に入会させていただいて、「芽かき」・「ピンチ」処理の必要性を初めて知りました。この春・秋で自分なりに処理はしてきたつもりですが、しかし、大輪の花というわけにはいきません。芽かき、ピンチ処理が的確に出来てないのか、はたまた、 肥料の具合なのか、他に原因があるのか、なかなか奥が深いようです。
ものぐさの私にとって、バラを育てるということは、こんなはずではなかったつもりだったのですが、近頃では、そういう我が家のバラでも、その花はやっぱり美しいと思い、その香りは何物にも換えがたいという素晴らしさも味わっております。
今後は、我が家のバラたちも、人様の前にちゃんとした格好で、出ていけるように 育ってほしいと思っております。試行錯誤の繰り返しになると思います。勉強も必要だと思います。よろしく、ご指導のほど、お願いいたします。