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ローズ・ふくおか アーカイブス 2005-16 ばらの香りのコーナーを担当して

ばらの香りのコーナーを担当して   中川 尚彦
平成17年/2005 No.16 掲載

 ”アイランド花どんたく”のばら展は、今までにない長丁場であった。期間中は疲れた。しかし、会員相互の絆は非常に強まった。大変だったがみんなの気持ちが一つになって力となり、このばら展が成功したと思う。特に、私なんかばらの香りのことは何も分からず全くの無策であった。香りのコーナーを引き受けたことを、すごく後悔した。そもそもばらの香りのコーナーを担当しようと思ったのは、次のようなことがきっかけだった。過去のばら展で観客の皆さんはばらを見て、必ずと言っていいほどばらの香りを嗅いでおられた。 ばら展では、ばらのどこを鑑賞するのであろうか、花の形、花の色、全体の形、香り、その他もろもろ。特にばらを栽培されていない人々にとっては、ばらの香りは最も重要な関心事であるらしい。香りはそんなに人の心を引くのかと興味をもったからである。もう一つは私自身がばらの香りに今まで全く関心が無かったし、何も知らなかったからであった。

 ところが引き受けてみると、どこから手を付けていいかわからず全くもって霧の中であった。その時、助っ人が現れた。それは柴田敬祐さんだった。彼は以前に、国営越後丘陵公園(香りのばら園をもっているばら園)に行かれ、いろいろなことを調査し記録しておられた。それを参考にしてばらの香りについて一応まとめることが出来た。次の問題は、ばら展会期中にどうやってよく香るばらを集めるかということ、これまた霧の中だった。またしても助っ人が現れた。それは吉村彰博さん。ばら展の前日吉村さんのところに、香りのばらをいただきに行き集めることが出来ほっとした。更にばら展当日、東さん、小林さん、阿部さん、本田さん、益田さん、赤司さん、宮川さん、青柳さん等々の方々から香りのばらをもってきて頂いた。こんなに感激したことはなかった。花がたくさん集まったら今度は花瓶が足りない。係の東さん、柴田さん、原口さんたちと相談して三角フラスコにいけることにした。ばらの香りは6種類に分類されていると表にまとめていたが、初めて聞く名前のばらがどの分類に入るかはたくさんの匂いを嗅いでしまってもう分からなくなった。そこでラベルには分類がはっきり分かったものについては香りの分類を記入したが、はっきりしないものについては分類を省略した。

 いざ花の美術館が開館してみると、観客の皆さんはおずおずとバラの香りを嗅いでおられた。それは展示品には手を触れてはいけないと掲示してあったからと分かった。これではばらの花の香りを堪能することは出来ないと思った。それで「このコーナーでは自由にばらに触ればらの香りに酔いしれて下さい」とパネルを作った。ところができあがったパネルは「このコーナーでは自由にばらに触ればらの香りに酔いしれて下さい」となっていた。これには大笑い。キーを打つとき、酔いしびれて欲しいという気持ちがあったのであろう。お陰で香りのコーナーは人だかりができ、コーナーの滞在時間が延びた。耳を傾けると「サントリーの青いばらより香りのする青いばら(ブルーヘブン)の方が、より青いね」という声がした。大成功だと思った。

 これも皆さんのお陰です。香りの係の方々、香りのばらを持参頂いた方々、その他会員の方々みなさんに感謝致します。皆さんのお陰で責任を全うすることができました。楽しい忘れられない一週間になった。ありがとうございました。

バラの香り

バラの花には、香りという魅力もあります。この香りは、私たちにほっと安らぎを与えてくれます。人々は品種改良を通してその様々な香りを追い求めてきました。現代のバラの香りをタイプ別にすると次の6つに分けられます。このコーナーでバラの香りを嗅ぎ、あなた自身のお好みのバラを見つけて下さい。

現代バラの香りの分類とその代表品種     (鈴木省三著「ばら花図譜」等より)
香りの分類 香りの説明 代表的品種
ダマスク・クラシック 香料用のダマスセナやケンティフォーリアの強い甘さと、ガリカローズの華やかさが合わさったばらの香り。バラの古典的な香り。 ・ロサダマスケナ ・プリンセスドウモナコ
・芳純  ・香貴 ・グラナダ ・香久山
・シュネーバルツァー ・セシルブルンネ
ダマスク・モダン ダマスククラシックの香りを受け継ぎながら、成分のバランスの変化によってより熱情的で洗練されている。 ・パパメイアン ・レディーラック
・イプピアッチェ ・イントゥリーグ
・マーガレットメリル ・シャルルマルラン
ティー グリーンバイオレットの香りが基調でいわゆる上質の紅茶に似た香り。現代バラの主流であるハイブリットティー(HT) の香り。上品で優雅な印象を与える。 ・レディヒリンドン ・ブラックティー
・ロイヤルハイネス ・ガーデンパーティー
・ローゼンドルフ シュパリース ホップ
フルーティー ダマスククラシックとティーの香りが混在することで、ピーチ、アプリコット、アップルなどの香りに感じる。桃やリンゴなどの果実の香り。 ・ダブルデライト ・フリージャ ・楽園
・カクテル ・バタースコッチ ・ハーモニー
・マリアカラス
ブルー ブルーの花色を持つバラに見られる特徴的な香りで、ダマスクモダンの特徴が混在している。他には無い独特の香り。 ・ブルームーン ・シャルルドゴール
・ラプソディインブルー ・ブルーパフューム
・ブルーバリュー ・ブルーヘブン
スパイス ダマスククラシックの香りの中に、クローブの香りがやや強く出たもの。ダマスククラシックにスパイスの原料にもされるチョウジの香りが混在したもの。 ・粉粧楼 ・ディンティベス ・マルメゾン
・アンクルウオルター ・ロサモスカータ
・ハマナシ ・サラヴァンフリート