バラ栽培研究会 月々の手入れ -9月
9月中旬〜10月中旬の手入れ
秋のばら展は10月下旬頃です。せん定後の手入れを十分にして、良い花を咲かせるように努めましょう。
Ⅰ HTの花枝の仕立て
1 芽かき
一般に、せん定する幹・枝の太さが大きいと仕立てる花枝も太くなりやすい。従って細い花枝に良花が咲く品種は、細い幹・枝でせん定した方がよい。 また、芽かきによっても仕立てる花枝の太さを調節することができる。
- ⑴ 幹・枝の太さが9mm前後は1芽、12mm前後は2芽、15mm前後は3芽くらいを最終的に残す。
- ⑵ 細い花枝に仕立てたいときは、頂芽が20〜30cm伸びてから余分な芽をかきとり、太い花枝にしたいときは、頂芽が4〜5cm伸びたら芽をかきとる。
- 細い花枝に良花が咲くもの
マダム・サチ、 晴世、 初恋、 レッド ライオン、 シェアプリス、 夢想、 ヘンリー フォード、 プリンセス ド モナコ、 みわく、 キャプテン ハリー ステビングス など
- 太い花枝に良花が咲くもの
千代、 クリスチャン ディオール、 熱情、 香具山、 金閣、 セツコ、 ロイヤル ハイネス、 ランドラ、 初雁、 ガーデン パーティ、 デイム 和子、 そどおり姫、 白秋、 ブルー シャトー、 マダム ビオレ、 パパ メイアン、 マクレデス イエロー など
2 わき芽・副らい取り
花枝のわき芽や主らいのそばの副らいは、付け根から早く取り除かないと、取った跡が見苦しくなる。
3 花枝・花首直し、葉の傾き直し
- ⑴ 曲がった花枝・花首は、添え木をクイックタイなどで固定して曲がりを直す。花枝直しは10日、花首直しは7日くらいで直る。
- ⑵ 葉の傾きは、花枝を麻ひもなどで、支柱にまっすぐ上に固定すると2週間程で自然に直る。
Ⅱ バラの保護
- 風 :花枝を支柱に麻ひもで固定し、花枝同士が接触しないようにする。また、周囲に防風ネットを張る。
- 雨・露:ビニール袋や傘を花枝にかぶせて花を保護する。
- 日光 :花弁が日焼けするものは、ハトロン紙の袋を、がくが下がり外弁が開き始める頃にかぶせて光の調節をする。
あけぼの、 ジェミニ、 アルテス75、 丹頂、 レッド ライオン、 エレガントレディ(旧ダイアナ・プリンセス・オブ・ウエールス) など
Ⅲ 施肥
秋は芽が伸び始めの頃は弱々しいが、後でしっかりした花枝になるので施肥しないで開花を待つ。鉢植えはつぼみに色が見えるまで、液肥の1,000倍液を1週間ごとに与える。
Ⅳ かん水
全部のせん定が終わってから10月初めまでは、降水量も考えて過湿にならないよう1週間ごとに10〜15ℓかん水し、土の水分量を一定にする。
- 寡かん水品種は開花の2,3週間前にかん水を中止する。
ロイヤル ハイネス、 ヘンリー フォード、 バーナビー、 そどおり姫、 レッド ライオン、 マクレデス イエロー、 あけぼの、 晴世、 初恋、 マダム サチ、 マダム ビオレ、 コンフィダンス など
- その他の品種でも開花の2週間前にはかん水を中止する。(注)土の水分が少ないと、花色は出るが、花弁は伸びにくい。
Ⅴ 薬剤散布
この時期に発生する病害虫は黒星病、うどんこ病、ハダニ、バラゾウムシ、アザミウマ(スリップス)など。バラゾウムシは捕殺する。
- 10月上旬までは薬害防止のため通常濃度より1.5〜2倍ほど薄い液を1週間おきに散布する。
特に、せん定後2週間は2倍ほど薄い液を散布する。 - 10月中旬以降は通常濃度で散布する。ただし開花中は散布しない。
例:水10ℓあたり
展着剤 | まくぴか | 1㎖(10,000倍) |
黒星・うどんこ病 | トップジンM水和剤 | 6.6㎖(1,500倍) |
害虫 | アディオン乳剤 | 3.3㎖(3,000倍) |
ハダニ・アザミウマ | カスケード乳剤 | ハダニ 10㎖(1,000倍) アザミウマ 5㎖(2,000倍) |
Ⅵ その他
- 中耕: 根を傷めないように5cmくらい浅く耕して、水や空気が土に入り易くする。
- 除草: 病害虫を防ぐためにもこまめに行う。